兵庫・公立校で269人教員不足、「ブラック職場」で休職多く志望者少なく…教頭が担任兼務も

兵庫県内の公立学校で、教員が不足する事態が続いている。精神疾患による病休や産休などの教員の代わりが見つからず、神戸市立の小中学校で42人、神戸市を除く公立学校では227人の教員が補充できない状況に陥っている。教頭が学級担任を兼任するなど教育現場への影響は深刻化しており、県教育委員会や神戸市教委は新人採用数の増加など対策を強化する方針だ。(喜多河孝康)
神戸市立の小中学校では、昨年9月1日時点で教員が42人不足。小学校で30人、中学校で12人不足しており、いずれも病休や育休の教員を補充できていない。
市教委は、新人の教員採用数を増やすほか、教員免許を持ちながら教職に就いていない「ペーパーティーチャー」を対象とした研修を開いて潜在的な人材を掘り起こしたり、新人教員の不安を解消する採用前研修を実施したりしている。
担当者は「教員同士の交流を広げ、現場でやりがいを持って働き続けられるように研修や勉強会を開いて新人教員をサポートし、定着率を高められるようにしたい」と話した。
一方、神戸市を除く県内の公立学校では、昨年10月1日時点で教員が少なくとも227人不足していることが兵庫教職員組合などの調査で判明した。
昨年9~11月、教員不足の実態を調査した結果、小中学校は県内40市町のうち38市町から、高校は157校のうち115校からそれぞれ回答を得た。
調査結果によると、小学校は教員122人が不足し、昨年5月の前回調査より40人増加。特に常勤の教員不足が深刻化しており、学級担任は55人が補充できないままとなっていた。
また、中学校の教員不足は前回より25人減って改善したものの、61人に上った。高校は11人増加し、44人の不足が出ている。
小中学校について原因を分析すると、「病気で休んでいる教員の代わりが見つからない」(58人)が最多で、「産休、育休の教員の代わりがいない」(32人)、「自己都合の早期退職」(22人)なども多かった。
精神疾患などによる病休や早期退職は、仕事の多忙さや学級運営・生徒指導に悩んだ事例が多い。学校は「ブラック職場」のイメージが強まったこともあって臨時教員の採用が難しくなってきており、教員の補充がない学校では、図工や音楽などの専科教諭や教頭が代わりに学級担任をしている状況だという。
県教委でも新人教員の採用数を増やすだけでなく、事前に産休・育休の予定を把握する計画的な人事配置を進めているが、抜本的な対策にはなっていない。
担当者は「教員の志望者は減少傾向にある上、退職者も多く、補充が追いついていないのが現状だ。今後は、大学を訪問して学生に教員の魅力を伝えるなど情報発信を強化し、志望者を増やしたい」と話した。

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