東京都千代田区が発注した区立学校の工事を巡り、非公表の入札情報を業者に漏らしたとして、警視庁は２４日、千代田区議の嶋崎秀彦（６４）（千代田区九段南）、元千代田区担当部長の吉村以津己（６１）（静岡県熱海市）両容疑者を官製談合防止法違反容疑で逮捕した。嶋崎容疑者は同日、区議を辞職した。
発表によると、２人は共謀して２０２０年４月、区立お茶の水小学校・幼稚園の空調、給排水設備工事の一般競争入札２件に関し、最低制限価格に近い金額や参加業者数を浜松市と千代田区の２社に漏えいし、公正な入札を妨害した疑い。入札は翌５月に行われ、この２社を含むＪＶ（共同企業体）が落札した。
警視庁は、業者側の依頼を受けた嶋崎容疑者が区行政管理担当部長だった吉村容疑者を通じ、区職員から非公表の入札情報を聞き出していたとみている。嶋崎容疑者は業者と長年の付き合いがあったという。
吉村容疑者は昨年６月と同１０月、読売新聞の取材に「入札情報を教えろとかはなかったと思う。（入札の不正は）今時、そんな話は聞かない」と話していた。
嶋崎容疑者は０３年に初当選。自民党会派に所属し、１３～１５年には区議会議長も務めた。吉村容疑者は２１年３月に区議会事務局長を最後に退職していた。
警視庁は２４日、同容疑で千代田区役所を捜索した。