政治ジャーナリストの田崎史郎氏(73)と元明石市長で弁護士の泉房穂氏(60)が24日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)に出演し、自民党が裏金問題を受け設立した「政治刷新本部」が23日に了承した中間とりまとめ案に対する評価などについて持論を展開し合った。自身の発言中に割り込んで発言しようとした泉氏に、年上の田崎氏が「ちゃんと聞きなさい」と制するなど、バチバチの展開となる場面もあった。
田崎氏は、中間とりまとめ案を特集したコーナーの解説で出演。泉氏や元テレビ朝日職員の玉川徹氏、水曜コメンテーターの元AERA編集長浜田敬子氏、「リディラバ」代表安部敏樹氏の顔ぶれをみて「この4人だと批判のオンパレードになると思うんですけど」と苦笑いしつつ「11月中旬に裏金事件が起き2カ月過ぎたが、その間に自民党の秩序はずいぶん壊れた。66年続いた宏池会がなくなり、派閥の中の派閥といわれた二階派も安倍派も解散。安倍派『5人衆』は失脚だ。自民党を揺るがす事件になるとは思ったが、これほど秩序が壊されるとは思わなかった」と述べた。
派閥の解消や、派閥から人事や金の機能を切り離すことなどを盛り込んだ中間とりまとめ案について「方向性は示された。言えることは、元に戻ることはないだろうと思う。それが総括です」と評価した。
一方、泉氏は「点数をつけたら100点満点で30点くらい。不合格」とバッサリ。1988年のリクルート事件を受けて、自民党が派閥解消など党改革をまとめた「政治改革大綱」を「合格点の70点」とした上で「自民党は自分で決めた約束を守っていない。政治資金と派閥の問題があり、テストでいえば本当は政治資金の問題の方が配点が高いが、今回は派閥という点数の少ないところだ」と、派閥のあり方に焦点が当たっている現状を疑問視。政治資金の透明化の問題についても「ガラス張りではなく、スモークガラス。そういう意味では30点じゃないか」と指摘した。
これに対し田崎氏は、「(当時の取材で)大綱ができあがるプロセスを見ていたし、できあがったものも何度も読んだ」とした上で「大綱が半分以上を割いて訴えているのは選挙制度改革だ」と、反論。これに泉氏が何か言いかけると、田崎氏は「ちゃんと聞きなさい」と、強い口調でピシャリ。これには、MCのフリーアナウンサー羽鳥慎一も「順番に行きましょう」と促すひと幕があった。
田崎氏は、選挙制度改革で中選挙区制から小選挙区制に移行したことを、当時の自民党総裁だった河野洋平元衆院議長が「失敗だった」と回顧していることに触れ「政治改革大綱が本当に正しいことなのか、僕はむしろそちらに疑問を持つ」と指摘。泉氏は「(大綱は)結局、選挙制度の(問題が重視される)ようになってしまい、政治資金や派閥の問題はどうなりましたかという問題があった。今回も派閥の議論ばかりしている。政治資金の問題をもっとしっかり議論すべきだ」と主張。「中間とりまとめですから今後ちゃんと頑張って80点、90点を目指して欲しい」と、さらなるバージョンアップを求めた。