自民刷新本部、安倍派幹部に処分求める声相次ぐ…首相は「まず説明責任果たさせる」

自民党が23日に開いた政治刷新本部の会合では、政治資金規正法違反事件で巨額な裏金作りが明らかになった安倍派幹部の説明と党による処分を求める声が相次いだ。中間とりまとめ案には「政治責任に結論」と明記され、裏金作りを慣習化させていたことへのけじめが必要との認識が広がっている。
「まずやらなければならないのは、関係者による明確な説明責任を果たさせることだ。政治責任のあり方については、党としても対応を考える」
岸田首相(自民党総裁)は23日に党本部で開かれた刷新本部の会合後、記者団にこう述べた。安倍派幹部の処分を検討する考えを示したものだ。
会合では、「説明すべき人が説明していないことが国民の信頼を得られない大きな原因だ」(谷公一・前国家公安委員長)、「(安倍派幹部は)国会の場で野党の質疑に応じるべきだ」(石川昭政衆院議員)などの意見が出た。
刷新本部が示した中間とりまとめ案には、前日の骨子段階ではなかった「政治責任に結論」との処分を示唆する文言が盛り込まれた。
安倍派への風当たりが強まったのは、東京地検特捜部による一連の捜査が終了した19日以降だ。安倍派は派の解散を決めたが、事務総長経験者や派の中枢を担うとされた「5人衆」から裏金作りの経緯や、幹部の関与などについて踏み込んだ説明がなかったためだ。
安倍派の西田昌司参院議員は19日の総会後、「『我々は知らなかった』というのは普通の組織ではあり得ない」と記者団に語り、幹部の責任を追及した。他派閥からも「訴追はされなかったが、政治的な責任は免れない」(小野寺五典・元防衛相)などと批判が相次いでいた。
小泉進次郎・元環境相は23日、安倍派の幹部について、「大きな集団を率いてきた。さすがだなと思う対応を期待したい」と述べた。安倍派内からも塩谷立座長ら幹部の自主的な議員辞職や離党を求める声が出ている。
他党からも厳しい視線が注がれている。
公明党の山口代表は23日の記者会見で、「捜査の結果も踏まえ、全体像について説明責任を果たす必要がある」と指摘。立憲民主党の泉代表は同日の党会合で「意図的な裏金作りに関与した議員たちは国会にいるべきではない」と語った。
野党 批判相次ぐ

自民党による政治改革の中間とりまとめ案を巡り、野党からは批判が相次いだ。
立憲民主党の岡田幹事長は23日の記者会見で、「メリハリのない、非常に腰の引けた案だ」と述べた。同日の党会合でも、事実関係を巡る説明が不十分だとして、「このまま制度論や派閥解散に争点を移していくやり方は全く認められない」と強調し、真相究明を優先するよう求めた。
日本維新の会の藤田幹事長は「予想通りの中身のない内容で、自民の自浄作用のなさには絶望すら覚える」と取材で語り、26日召集の通常国会で追及していく考えを示した。
国民民主党の玉木代表は記者会見で、政治資金の透明化策が具体性に乏しいと指摘し、「再発防止につながるか極めて疑問だ。与野党を超えて踏み込んだ改革をしていく必要がある」と訴えた。

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