能登半島地震巡る偽情報対策、被災自治体とOP技術を使い実証実験へ…岸田首相「虚偽情報の流布許さない」

政府は、能登半島地震を巡り、偽情報や誤情報がSNS上で拡散する事例が相次いでいるため、情報の信頼性確保につながる技術開発を支援する方針を固めた。コンテンツの発信者情報を電子的に付与する「オリジネーター・プロファイル(OP)」などの活用が念頭にある。
25日にも決定する被災者支援の対策パッケージの関連事業として、被災自治体とOP技術を使った実証実験を行うことなどを想定している。
対策パッケージの原案では、「被災地におけるインターネット上の偽情報・誤情報対策を行う」と明記した。SNSなどを運営する「プラットフォーマー(PF)」と呼ばれるIT企業などが偽情報や誤情報を判別しやすくするため、「発信者の実在性と信頼性を確保する技術」の開発を支援する方向性を打ち出した。
さらに、生成AI(人工知能)の技術で作成した偽動画「ディープフェイク」かどうかを判別できる技術開発を支援することを盛り込んだ。2011年の東日本大震災や16年の熊本地震など、過去の災害で流布された真偽の判別が難しい情報の特徴を分析し、PFと共有する考えも示した。
能登半島地震に関しては、発生直後にSNS上で架空の地名を挙げて救助を求める情報や、東日本大震災発生時の動画を加工したとみられる津波の映像が拡散した。被災地を離れてホテルや旅館などの2次避難先を利用する場合、「被災者に自己負担が発生する」との誤った情報も流れ、政府や石川県は無料だとして、打ち消す対応を迫られた。
岸田首相は「悪質な虚偽情報の流布は決して許されない」と危機感を強めており、被災者向けの普及啓発活動も強化する見通しだ。
◆オリジネーター・プロファイル=インターネット上の記事や広告に、第三者機関が認証した発信者情報を電子的に付与し、利用者が信頼性を確認できるようにする技術。開発を進める「OP技術研究組合」には国内外のメディアなど37法人が参加しており、2025年の運用開始を目指している。

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