自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題で、岸田文雄首相は岸田派を解散させ、派閥から政策集団への移行を打ち出した。永田町の関心はすでにポスト岸田の行方だ。派閥の力学が弱まることで、ポピュリズムに陥る懸念があり、あの〝女帝〟の名前も挙がる事態になっている。
自民党は25日の総務会で政治刷新本部の中間取りまとめを決定する。派閥が握るカネと人事から決別し、政策集団へと移行したうえで、政治資金パーティーの開催禁止、モチ代、氷代の廃止、さらには人事への働きかけや協議の禁止などの案で固まった。
「麻生派や茂木派は存続意向で、政策集団に名前を変えるだけの見せかけともいわれるが、カネの権限を奪うことで力が弱まることは間違いない。人が集まる以上、グループが消えることはないが、総裁選などではどこまで票の取りまとめや締め付けができるのかは未知数です」(永田町関係者)
今年9月に総裁選があり、衆院選は来年秋までに行われる。岸田首相の総裁選再出馬、解散戦略は不透明だが、すでに青山繁晴参院議員が総裁選への出馬を表明している。ポスト岸田に名前が挙がるのは総裁選に出馬した過去がある河野太郎デジタル相や石破茂元幹事長、林芳正官房長官のほか、世論調査で人気の高い小泉進次郎衆院議員らが控える。
24日に国会内で開かれた大地塾で講演した作家の佐藤優氏は「派閥がなぜ必要かというと政党の中間団体。派閥を持っていれば、20人、30人を束ねて、それなりの人がなっていた。派閥がないと、みんなバラバラの砂みたいでその時の雰囲気で、この人っていう総理大臣になる。女性の党首、これはイケるなとなれば流れる」と、目先の選挙や世論に迎合するポピュリズムに陥りかねないと指摘した。
世界的に女性リーダーが台頭しており、日本でも初の女性首相を望む声が大きい。上川陽子外相や総裁選に出馬した高市早苗経済安保相、野田聖子元総務相らが有力候補に挙がるが、7月に改選を迎える史上初の女性都知事となった小池百合子氏もここに来て、クローズアップされ始めた。
「小池さんの政局を読むセンスは天才的。まだ都知事選に3選出馬するかは言及していません。出れば再選は固いものの、悲願である首相就任の芽がある中で、衆院選の時期との兼ね合いもあるが、都知事再選→辞任→衆院選出馬なんてウルトラCもやりかねない。自民党と距離があるといわれているが、すでに関係も修復済みで、政局が混沌となればなるほどチャンスが出てくる」(与党関係者)
今年はロシアや米国で大統領選が行われる選挙イヤー。自民党派閥の解散を引き金に大混乱の永田町で、サプライズが起きるのか――。