岸田文雄首相の「就任を祝う会」違法パーティー疑惑 岸田事務所は亡くなった秘書に責任転嫁、脱税にあたる可能性も

派閥の政治資金パーティーの裏金事件をめぐり、岸田文雄・首相は抜本改革に着手しないまま早期幕引きを図ろうとしているが、それが許されるはずはない。何より、岸田首相自身に発覚した「政治とカネ」の疑惑について、説明責任を果たしていないからだ。岸田氏の政治資金の流れを追いかけていくと、さらなる重大疑惑が浮上した。【前後編の後編】
誤魔化しの回答
本誌・週刊ポスト前号で報じた岸田首相の「祝う会」パーティーでも首相は誤魔化しを続けている。
疑惑を以下に整理する。
【疑惑1】「会の主催は任意団体」と偽装した疑い
本誌の取材では、「祝う会」は企画・準備段階から岸田事務所が仕切り、その収益の一部が岸田首相の政党支部に寄附されていた。実態は岸田首相の政治資金パーティーであり、本来なら首相は自分の政党支部や政治団体の政治資金収支報告書に収支を記載しなければならない。
しかし、同パーティーは表向き任意団体「祝う会」主催の「政治資金パーティーではない催し」の形式を取り、収益は「団体からの寄附」として処理された。岸田首相の政治資金パーティーだったことを隠し、収支を明らかにしない意図があったのではないか。
【疑惑2】任意団体主催でも報告義務のあるパーティーだった可能性
「祝う会」は会費が1人あたり1万円で、1100人参加したとされることから、収入が1000万円以上だった可能性がある。そうなると政治資金規正法の「特定パーティー」(収入が1000万円以上)にあたり、たとえ任意団体の主催でも政治資金収支報告書の提出が必要になる。違反すれば、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金が適用される。
【疑惑3】収支報告書に記載された代表者が「寄附した覚えはない」と証言
岸田首相の後援会会長で、政党支部の収支報告書上では寄附をした「祝う会」の代表とされた伊藤學人氏が、本誌の取材に「寄附した覚えがない」と証言。これにより、首相サイドの虚偽記載疑惑も浮上している。
岸田事務所は前号の取材に、1「祝う会は地元政財界の方々に開いてもらった」、2「『祝う会』の開催経緯を知る事務所関係者からは、収入は1000万円未満だったと聞いている」、3「『祝う会』の開催後、数か月してから支部へ寄附する旨の連絡があったと聞いている」──と文書で説明。あくまで岸田事務所の主催ではないと主張したが、「聞いている」という伝聞ばかりで説得力はない。
本誌の取材では、「祝う会」の会費は広島銀行の「祝う会代表 伊藤様」名義の口座に振り込まれ、「岸田首相の父・文武氏の時代からの秘書のC氏をはじめ、岸田事務所のスタッフが経理を握っていた」との証言を得ている。任意団体の口座を作って参加者に会費を振り込ませ、その収益の一部を支部に寄附したのは、岸田事務所の自作自演だったという疑念が深まる。
亡くなった秘書になすりつけ

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