甲府市で2021年10月、全焼した住宅から刺殺された夫婦の遺体が見つかった事件で、殺人罪などに問われた甲府市の無職遠藤裕喜被告(21)の弁護人は1日、死刑とした1審・甲府地裁の裁判員裁判判決を不服として東京高裁に控訴した。
公判では、被告の刑事責任能力が争点となった。弁護側は、養父からの虐待などで複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神障害となり、心神耗弱状態だったとして死刑の回避を求めた。1月18日の1審判決は計画的な犯行として完全責任能力を認め、検察側の求刑通り死刑を言い渡した。
遠藤被告は公判で「社会に戻るつもりはない」などと述べ、昨年12月の最終意見陳述で「控訴はしません」と述べていた。
事件を巡っては、甲府地検が事件当時19歳の「特定少年」だった遠藤被告の氏名を起訴時に公表。改正少年法に基づく氏名公表の全国初の事例となった。