自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)が1月31日、2020~22年の政治資金収支報告書の訂正を総務省に届け出た。
安倍派では、同年分を含めた5年間で、現・元職の衆院議員に関係する58団体、参院議員関連の37団体の計95政治団体に対する総額約6億7600万円の寄付を記載していなかったと公表。「国民の政治不信を招き、ご迷惑とご心配をお掛けし、心よりおわび申し上げる」とのコメントを出したが、これにて一件落着とはいかないのは言うまでもない。
昨年11月~12月にかけて問題が指摘された際、「適正に処理している」などと言って詳しい説明を避けてきた安倍派議員の面々。自身や関係者の逮捕、起訴の可能性が低くなったと見るや、次々とキックバックを認め始め、「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに政治資金収支報告書を相次いで訂正している。だが、「訂正」したとする収支報告書を確認すると、「寄付」として支出を受けた期日は「不明」で、支出先の名前も適当に記入したとしか考えられないものが少なくないから、いい加減だろう。
解散を決めたとはいえ、安倍派議員に対する国民の怒りは一向に収まる気配は見られないが、とりわけ、SNS上で投稿が相次いでいるのが、杉田水脈衆院議員(56=比例中国ブロック)だ。
■杉田氏はキックバック計1564万円を収支報告書に記載せず
杉田氏の資金管理団体「杉田水脈なでしこの会」は1月31日、2018~20年と22年に安倍派からキックバックされた計1564万円を収支報告書に記載していなかったとして、同告書の訂正を兵庫県選挙管理委員会に届け出た。
キックバックされた約4300万円を記載せず、東京地検特捜部から政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で略式起訴された谷川弥一元衆院議員(82)=東京簡裁が1月30日までに罰金100万円、公民権停止3年の略式命令=と比べて金額が少ないとはいえ、それでも1500万円超のカネをため込んできたのだから悪質さは変わらない。
杉田氏と言えば昨年、保守系月刊誌のユーチューブ番組に出演した際、アイヌ文化振興事業に公金不正流用疑惑があるとの見方を示し、関係者が補助金などを必要以上に得ているのではないかとして「公金チューチュー」と揶揄し、国内外で批判の声が上がった。
このため、SNS上ではこんな声が拡散されている。
《公金チューチュー議員はあなた。パーティー収入は公金じゃないとでも言いたいのか》
《収支報告書に記載しない裏金をウン千万円も作りながら、国民に対して税金泥棒かのような差別発言。見事なダブスタ》
《アイヌ文化事業は正式な手続きに則って申請する補助金。あなたは法律も手続きも無視して得た裏金。悪質なのはどちらなのか》
裏金事件はまだまだ終わらない。