北海道・恵庭市の牧場で知的障害を抱える3人が障害年金を横領されたなどとして牧場と市に損害賠償を求めている裁判。市は、これまで開示してこなかった調査委員会の報告書を初めて明らかにしました。その内容とは。
訴えを起こしているのは恵庭市の遠藤牧場で働いていた知的障がいを抱える男性3人です。訴状などによりますと3人は水道のないプレハブ小屋に住み込みで働かされたうえ、支給された5000万円以上の障害年金を横領されるなど経済的虐待を受けたとしています。また市も問題を隠蔽したとして、牧場と市におよそ9400万円の損害賠償を求めています。
恵庭市は先月30日の裁判を前に調査委員会の報告書の一部を初めて開示。市がこの問題を最初に知った経緯が明らかになりました。
市の報告書)
「これからは仕事もないから勝手にしろと言われて困っている」。
2016年、3人が牧場主である元市議会議長の男性から出ていくように言われたと、障害者の支援団体から相談があったということです。さらに、虐待を伺わせるような内容も。
市の報告書)
「プレハブ小屋で冬期間寝泊まりしているので足が凍傷になっていると聞いている」。
原告の1人は当時のプレハブ小屋での生活についてこのように話しています。
牧場で働いていた男性)
(ストーブはあった?)「ストーブの燃料は使ったらダメと」
恵庭市側は障害者虐待防止法に基づく、「通報」や「届出」が原告本人たちからなかったことから「違法性はない」と主張しています。
一方、原告の弁護団は。
原告弁護団・中島哲弁護士)
「2016年の段階で足が凍傷になっている可能性があると聞いていて虐待があったかどうかなんて知る可能性もありませんでしたと言えますか?」。
果たして市の対応に問題がなかったのか。
次回の裁判は来月12日に行われます。