原発事故後初の教室「懐かしい」=福島・大熊町の帰還困難区域

福島県大熊町で3日、東京電力福島第1原発事故により「帰還困難区域」となった町立熊町小学校などから、私物を持ち出す機会が設けられた。同校の校舎に一般の立ち入りが認められるのは事故後初めてで、教室を見た当時の在校生らは「懐かしい」「こんなのあったなあ」と思いをはせた。
立ち入りは同町が企画したが、除染が行われていないため短時間となった。同県富岡町職員でいわき市在住の伏見颯人さん(25)は「現状を見ておきたい」との思いから、両親や妹と共に訪れた。当時6年生で、机にかばんや荷物、げた箱には靴が残ったまま。「何か持って帰るというよりは記憶にちゃんと残しておきたい」と壁の掲示物などをじっくり見て回った。
いわき市に住む夏目洋子さん(56)は、社会人の息子に代わり、夫と教室に入った。「周りは黒が多かったから目立ったの」と青いランドセルのほこりを丁寧に拭い、持参した袋に詰めた。自身の母校でもあるといい「約13年たってしまったけど、立ち入れたことはうれしい」と語った。
[時事通信社]

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