2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は6日、東京都内で理事会を開き、運営費を当初の約1・4倍となる1160億円に引き上げることを決めた。これに合わせ、役員をメンバーにした「運営費執行管理会議」を協会内に新設すると発表。赤字になった場合の補(ほてん)方法は未定で、収入の大半をまかなう入場券の販売状況や支出内容を精査し、コスト管理を徹底する。
運営費は、国、大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する会場建設費と異なり、協会が自ら財源を確保する。関係者によると、入場券の売り上げがまとまって入金されるまでの間、資金が一時的に不足する恐れがあるとして、りそな銀行から最大360億円を借り入れることも決めた。
協会は20年に運営費を809億円とする基本計画をまとめた。だが、運営スタッフの人件費高騰や万博会場周辺の雑踏警備の強化などが必要となり、23年12月、1160億円に増額する案を発表していた。
入場券収入は、目標入場者数2820万人の約8割(2200万人)で計算し、969億円と見積もる。1400万枚を前売りでさばく計画だが、24年1月末までの販売実績は約45万枚にとどまっている。
理事会後、記者会見した十倉雅和会長は、能登半島地震の万博への影響について「復旧、復興に支障を来さないよう万博も予定通り進める」と述べた。
2度の増額を経て最大2350億円に膨らんだ会場建設費など、万博関連費用の相次ぐ上振れを受け、政府も「予算執行監視委員会」を発足。公認会計士らが3カ月に1度のペースで、会場建設費や運営費などの執行状況をチェックする。【古屋敷尚子、野田樹、東久保逸夫】