東京・世田谷の認可外保育所で乳児死亡 警視庁が捜査、遺族が会見

東京都世田谷区の認可外保育施設で2023年12月、生後4カ月の男児が意識不明で病院に搬送された後、死亡する事案があったことが、遺族らへの取材で判明した。遺族らは7日、都内で記者会見し、「布団にうつぶせに置かれて窒息し、死亡した」と訴えた。警視庁北沢署は業務上過失致死容疑も視野に、当時の状況を捜査している。
両親「悲しくて苦しくてたまらない」
北沢署や区によると、事故があったのは「託児ルームバンビーノ」(梅丘1)で、「ベビーホテル」と呼ばれる認可外保育施設。
亡くなった男児は23年12月13日午後2時50分ごろ、男性職員が布団で寝かしつけた。約25分後、この職員が確認したところ呼吸しておらず、意識不明の状態だった。男児は搬送先の病院で死亡が確認された。
事故のあった時間帯は、男児を含め0~2歳の乳幼児計9人を、施設長の男性と臨時職員の計3人で保育していた。男児が昼寝を始めた時には、3人の中で唯一保育士の資格を持っていた施設長は外出していたとみられる。
遺族の代理人を務める弁護士によると、寝かしつけた職員は「(男児を)布団にうつぶせに置いた。うつぶせに置くと泣きやんだ」などと遺族に説明したとされる。男児はまだ寝返りができない状態だったという。母親は入所を申し込む際、他の乳児がうつぶせに寝かされているのを目撃し、施設長に「あおむけで寝かせてほしい」と要望していたとしている。
国の事故防止ガイドラインは窒息などの危険性を考慮し、原則として保育施設で乳児をうつぶせで寝かせないよう求めている。北沢署は職員らに聞き取りを進めるなど、適切な保育がされていたか調べる。
会見には、両親と祖父が出席し、男児の名前を「真渚己(まさき)ちゃん」と明らかにした。おもちゃを渡すと、握って顔の前に持ってこられるようになったばかりだったという。両親は「亡くなってしまった今でもかけがえのない、いとおしくてたまらない存在。悲しくて苦しくてたまらない」と語った。
両親が「バンビーノ」に真渚己ちゃんを預け始めたのは23年11月。母親の復職に合わせ申し込んだ複数の認可施設には入れず、この施設を選んだという。
施設長の男性は7日、毎日新聞の取材に「他の子の対応のために一時的に(真渚己ちゃんを布団の上に)置いた。すぐに対応するつもりだった」などと説明した。その上で「安全意識が足りなかった。ご両親は信頼して預けてくれたのに、このようなことになってしまい申し訳ない」と話した。【木原真希、岩崎歩、菅健吾】

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