国民民主党の玉木雄一郎代表の堪忍袋の緒が切れた。ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除について、国民民主党と自民党、公明党は3党協議を進めてきたが、岸田文雄首相が6日の衆院予算委員会で解除を明言しなかったのだ。財務省の影響力が強い岸田政権にとって、「減税」は禁句なのか。一方、少子化対策の支援金(年平均6000円弱)などの「負担増」は着々と準備されている。
「明確な政治決断がなかった。極めて残念だ」「(岸田首相は)『裏金』問題で頭がいっぱい」「5月以降の『トリガー条項』発動のめどが立たなければ、協議継続に意味はない。離脱を決断せざるを得ない」
玉木氏は6日の衆院予算委後、記者団に3党協議離脱をこう表明した。
注目の予算委で、玉木氏は、世界的な原油高騰によるガソリン価格を抑制する補助金が4月に終了となることを指摘し、法整備を年度内に行うため、「決断をここで求めたい」と訴えた。
これに対し、岸田首相は「燃油価格安定が重要だというのは同感」といいながら、「至急『検討』する」「(3党で)協議をする」などと返答を避けた。
党内外に「自民党への迎合だ」という批判の声があるなか、玉木氏は「国民生活のために…」と岸田政権に是々非々で臨んできた。昨年11月に成立した2023年度補正予算案に賛成する一方、岸田首相に「トリガー条項」の凍結解除を迫ってきた。
だが、鈴木俊一財務相が凍結解除について、「国、地方合計で1兆5000億円もの巨額の財源が必要」とクギを刺すなど、財務省の牽制(けんせい)も始まっていた。
玉木氏は今後、凍結解除について同様の考えを持つ他党との連携も視野に、取り組みを継続する方針だ。国民民主党は7日の両議員総会で「協議離脱」を正式決定する見通しだ。
元内閣参事官の高橋洋一氏は、夕刊フジの人気連載「日本の解き方」で、トリガー条項の凍結解除によるガソリン税減税について、「ガソリンに対する諸税については『タックス・オン・タックス』(二重課税)という理解しにくいものが多い」「税収は上振れしているほどで、財政は好調だ。本来はそれを国民に還元すべき」「消費者に明快であるなど明らかに利点が多い。自公の背後にいる官僚主義が勝つのか、国民民主の政治主導が勝つのか興味深い」などと指摘していた。
こうしたなか、岸田首相は「国民の負担増」は着々と進めるようだ。
6日の衆院予算委で、少子化対策の財源として公的医療保険料に上乗せ徴収する「支援金」制度の負担額について、「加入者1人当たり月平均500円(年平均6000円)弱」との見込みを明かしたのだ。
新たな批判の火種となりそうだ。