輸出先を偽って税関に申告し、中古の貨物船をイランに輸出した疑いがあるとして、警視庁公安部が関税法違反容疑で、大阪市の船舶販売会社や関係先を家宅捜索していたことが7日、捜査関係者への取材で分かった。中東ではイランとの関係が疑われる武装組織による貨物船襲撃が相次いでおり、公安部は輸出の経緯や、輸出後の用途の解明を進める。
捜査関係者によると、輸出された貨物船は499トンで、平成9年に建造された。令和3年4月に同社が、保有元の鉄道・運輸機構(横浜市)などから落札。同年5月ごろ、輸出先をアラブ首長国連邦(UAE)と偽って税関に申告し、実際はイランに輸出していた疑いが持たれている。
捜索を受けた会社のホームページによると、同社はこれまで、UAEや中国、東南アジアなどへの船の売却を仲介しているという。
イランへの貨物船輸出に規制はないが、関税法は虚偽申告による輸出を禁じている。中東では、タンカーなどに対する海賊行為が相次いでいるほか、イエメンの親イラン民兵組織「フーシ派」による商船拿捕(だほ)も発生しており、日本や米国などが警戒を強めている。