四国犬は飼い主に忠実な中型の土着犬 専門家「犬種が危険ではなく、しつけ方が大切」

神奈川県南足柄市で散歩中に逃げ出した四国犬が9日正午現在、見つかっていない。四国犬を巡っては7日に群馬県伊勢崎市内の公園で7~63歳の12人を襲い、散歩中のトイプードル1匹をかんで死なせる事態となった。四国犬は危ないのだろうか─。専門家らによれば四国犬という犬種自体が危険なのではなく、しつけ方や生育環境の変化などに問題があるという。
四国犬は古代から四国地方にいる中型の土着犬で、昭和12年には天然記念物にも指定されている。体高や体長は個体差はあるがそれぞれ約50センチ、約60センチ。
公益社団法人「日本犬保存会」などのホームページや一般社団法人「ジャパンケンネルクラブ」(JKC)によれば、四国犬はもともとはイノシシを相手にする猟犬で、筋肉質で俊敏。紀州犬や甲斐犬と同じように狩猟本能は強い。ほとんどの日本犬と同じ素朴らしさを持ちつつ、顔立ちは精悍。日本犬と同じように飼い主に忠実な性格で、強い縄張り意識を持ち、番犬としても向いている。
JKCの広報担当者は、児童らが四国犬に襲われたことについて「痛ましいことが起きてしまった」と述べた上で、予防策として「幼い頃から犬に対する『社会化』が必要で、自転車や車が行きかう雑踏に慣れさることや、名前を呼べば振り向くといった飼い主の心がけで、人に飛びつく経験をさせないことが大事だ」と指摘する。
「精神的に強いストレスを受けるなど、よほどのことがない限り、(人を襲うなどの)行動には出ない。『この犬種だから危険だ』とはならないようにしてほしい」とも訴えた。
伊勢崎市で12人が四国犬に襲われたことについて、X(旧ツイッター)上で「悪いのは犬種ではない」「飼い主の杜撰(ずさん)な管理で犬が悪者になってしまう」と飼い主の責任を求める投稿が相次いでいる。(奥原慎平)

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