奥能登地域でもボランティア受け入れ開始 人数や活動に制限、地元に歯がゆさも

能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県奥能登地域の4市町全てで一般ボランティアの活動が始まり、被災家屋などの片付けに奔走している。ただ、重機不足や断水の影響で宿泊拠点が確保できないなどの事情も重なり、自治体ごとの受け入れは1日数十人程度にとどまる。11日にも震度4を観測するなど、止まない余震も作業を妨げる。復旧に向けた人手不足は深刻で、地元関係者も歯がゆさを抱えている。
再建できるか「見通し立たない」
10日に一般ボランティアの受け入れを始めた輪島市。河井町地区の民宿では、雨漏りで使えなくなった畳の運び出しやごみの分別が進み、店主の男性(60)は「自分一人ではできなかったので助かる」と目を細めた。
一方で、津波が押し寄せた能登町白丸地区にはまだ一般ボランティアが入ることができない。
坂口浩二さん(57)の自宅と納屋は1階が浸水し、家財道具は散乱し、床は泥だらけになった。避難所運営のため平日は作業できず、週末しか片付けができない。「合間を縫って少しずつ進めるしかない。再建できるか、見通しが立たない」と肩を落とす。
町災害ボランティアセンターによると、三連休の10日と11日には、町民ボランティアも含め約30人が災害廃棄物の仕分けや運搬などを担った。
住民ニーズに追いつかないが…
センターを運営する能登町社会福祉協議会の小路芳宏事務局長は「1日にこなせるのは15~16件。毎日来る住民ニーズに追い付かないが、重機や運搬車両がそろわないため、ボランティアが大勢来てくれても作業を配分できる状況でもない」と打ち明ける。
他の自治体も、安全に活動できる環境の確保が難しいことなどから、一般ボランティアの受け入れ人数を制限せざるを得ない状況だという。
石川県によると、ボランティアの事前登録は8日時点で約2万3千人に上るが、実際に活動するのは、奥能登地域4市町を含む8市町で1日約250人に過ぎない。奥能登地域4市町の募集は約15~40人にとどまり、被害の大きさに対し活動は広がっていない。
拠点の金沢市からバスで日帰り
登録者は県外在住が8割近くを占めるが、断水が続く地域では宿泊が難しく、拠点の金沢市からバスで日帰りの形をとる。奥能登地域への移動には時間がかかり、実働は4時間程度と限定的で、作業時間や活動場所も限られるのが実情だ。
県は混乱を避けるため、個人単位での活動を控えるよう求めている。県の担当者は「自家用車で来られると渋滞の要因にもなる。安全に住民の要請に即して活動してもらうためにも、今は事前登録して募集に応じてほしい」と話した。

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