ゴミ屋敷状態の自宅、度重なる児相への報告 ホテル経営一家に何が 浅草4歳殺人事件

東京都台東区のマンションで当時4歳の次女に向精神薬などを飲ませて殺害したとして、両親が逮捕された。両親はホテルを経営、マンションを所有するなど恵まれた生活を送る一方で、事件現場となったマンション最上階の自宅は、ゴミ屋敷状態だったという。子供への虐待を疑う児童相談所への報告もたびたびあり、荒れた生活の一端が浮かび上がる。(内田優作、前島沙紀)
14日午前9時45分、次女の美輝ちゃんへの殺人容疑で逮捕された細谷志保容疑者(37)は、手で顔を覆い隠しながらマンションから出てきた。その約30分後に現れた夫の健一容疑者(43)はうつろな目で前を見据えながらゆっくりと捜査車両に乗り込んだ。
隅田川を見下ろす両容疑者の自宅マンションは皮革店街の一角。地元の業者によると、健一容疑者が生家の皮革店を継ぎ、10年以上前から台東区駒形に和風のコンセプトのホテルを構えた。一家が住むマンションも父親から相続し、健一容疑者はマンションの大家だった。
資産家として華やかな生活を送る一方、自宅内は物が無造作に積み上げられ、玄関前のエントランスもゴミ袋などで占領されていた。
近くに住む70代の女性は「夜中に車で帰ってきて子供の泣き声やぐずる声がしょっちゅう聞こえた。夫婦の言い合いも聞こえた」。別の女性(22)は志保容疑者について、「ミニワンピとか着ていて派手な印象。夜10時くらいに帰ってくる」と話す。
事件を受けて会見を開いた都児童相談センターは14日、次女が通っていた保育所から令和4年に5回、顔などに傷やたんこぶがあるとの報告を受けていたと明らかにした。一家は次女が生まれる前の平成28年10月、千葉県流山市から同区に転入。担当者は「母親は精神が不安定で、(子育てに)あまり関与しておらず、養育者は父親とみている」と説明した。
一方、美輝ちゃんの通っていた保育園では改めて悲しみが広がった。同じクラスに子供を通わせていた女性は「明るくてかわいかった。本当に悲しい」と涙ぐんだ。

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