能登半島地震で倒壊した住宅の解体などを、自治体が代わりに行うための仮申し込みが石川県珠洲市で始まっています。一方で、なかなか復旧作業が進まない現状もあるようです。
記者「公費解体の仮申し込みの受付が行われているのは、1階に入ってすぐそばのこちらのスペースです。早速、多くの人がけさから集まっています」
自治体が所有者に代わって解体・撤去する制度は、被害を証明する「り災証明書」で半壊以上と判定された家屋などが対象で、所有者の自己負担はありません。
きのうから珠洲市では仮申し込みが始まり、けさも市役所の受付場所には被災した住民が訪れていました。
住民「自分で潰すにしてもお金が大きくかかるし、公費でしてくれるというので、早くしてもらったら助かるなと思って来た」
一方、同じ珠洲市では…
海沿いの三崎町に住む、漁師の蟹谷博樹さん(60)。
蟹谷博樹さん「(Q.ここの景色って?)(発生当時から)変わらん変わらん、全然変わらんよ。り災証明書(の交付)が遅い。それでもう(自宅を)触られない」
集落は津波に飲み込まれ、蟹谷さんの住宅も土砂が家に入り込んだままで住むことはできません。富山県の業者からショベルカーを借り、自力で家の解体を行おうとしていました。しかし…
蟹谷博樹さん「まだり災証明のあれ(調査)が来ていないから、(市に)触るなと言われている。親切な人がいて貸してくれた。2か月だけ」
家の中は…
蟹谷博樹さん「白い所まで海水が来ていた。そこが津波の跡や」
「り災証明書」は、持ち主の申請に基づき自治体が現地調査を行った上で、災害による被害の程度が証明されます。蟹谷さんは今月上旬に行われた現地調査の結果を問い合わせましたが、判断が難しいといわれ、再調査が必要となりました。
蟹谷博樹さん「結果を早く出してほしい。判断が下りるまで遅い。それまで何もできない」
いまだに爪痕が残る集落。日常を取り戻すための一歩を踏み出せないままです。