女子中学生がはねられ死亡した横断歩道、住民は信号設置を長年要望…ようやく実現へ

福井県敦賀市若葉町の県道で昨年12月、横断歩道を渡っていた同市の女子中学生(13)が軽乗用車にはねられて死亡した事故を受け、県公安委員会は、現場に押しボタン式の信号を設置する方針を固めた。事故以前から地域住民が長年繰り返してきた要望が実現する。(荒田憲助、北條七彩)
県警によると、県の2024年度当初予算案に設置費約670万円を盛り込んだ。県議会の同意を得れば、24年度中に設置する。車道は黄色の点滅信号で、歩行者がボタンを押せば赤に変わる仕組みという。
現場は19年に開通した県道で、片側1車線の直線。国道27号に接続し、南方にある中学校の通学路になっていることなどから、地域住民は開通以前から押しボタン式信号の設置を求めていた。
若葉町の区長の立石正美さん(71)によると、県警などは設置が実現しなかった理由として、現場の約200メートル南に信号機のついた横断歩道があることなどを挙げたという。
この中学校で生徒の安全指導を担当する男性教諭は「通学時は止まろうとしない車の隙を突くように渡っている。昨年12月まで事故がなかったのが不思議なくらいだ」と指摘。同校は事故後、教職員らが現場付近に立ち、登下校する生徒らを見守る活動を続けている。
警察庁の指針では、信号機設置の条件として▽隣接する信号機と150メートル以上離れている▽ピーク時は1時間あたり300台以上が通る――などを必須としたほか、小中学校の近くで児童、生徒の交通安全を確保する必要があることも考慮される。県警は交通量調査などを実施し、条件を満たすことを確認したという。
県公安委員会はまた、近くにショッピングセンターが開業する予定の福井市開発の交差点と、新しい道路が開通する高浜町の交差点にも信号機を設置する予定だ。敦賀市若葉町を含めた3地点の信号機の設置費用は約2700万円を見込んでいる。

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