留置場に死角があったのか。複数の女性に対する不同意性交の罪に問われ裁判中だった警視正の男が留置場で17日夜に死亡する騒動が起きた。ひも状のものを持ち込ませないなど対策をしているはずの留置場で、なぜこんなことになったのか。
死亡が確認されたのは中国四国管区警察学校の警視正、岩本幸一被告(58)。昨年3月に岡山県警から出向していた。同日午後8時20分ごろ、広島中央署の留置場居室にあるトイレで意識不明になっているところを署員が発見。遺書のようなものがあったという。岩本被告は「特別要注意者」として、監視が強められていたはずだった。
岩本被告はマッチングアプリで知り合った10~20代の女性と性行為をし、売春を認める始末書をかかせるなどした不同意性交の疑いで逮捕・起訴されていた。すでに初公判が行われており、「ホテルに行ったが、性交や強要はしていない」と無罪を主張。また、6日にも同容疑で4回目の逮捕があったばかりだった。
逮捕に抗議する意味の自殺なのか、自身のやったことの後ろめたさからなのか、警視正としてのプライドゆえなのか、今となっては真意は分からない。しかし、特別要注意者とされながら防げなかった点は検証されなければならない。
今回騒動のあった広島中央署の留置場にお世話になったことのある人物は「発見されたのは午後8時20分ですよね。留置場には時間的な死角があるのです。それは夕食後です」と指摘した。
「だいたい午後6時に夕食で、各部屋で一斉に食べます。約30分ほどで食器類が回収されます。午後9時が就寝で午後8時半ごろに布団を自分で取りに行かされます。この夕食後から布団を取りに行く時間までの間はなぜか見回りが少ないんです。スケジュールはどこの留置場も似たようなものですから、警察関係者だけに死角の時間帯を知っていたのかもしれませんね」(同)
岩本被告はトイレの扉にももひきを引っかけていたという。「独居の場合はトイレに扉はありません。雑居ならトイレに扉がついているので、雑居に1人でいたのでしょう。私もそうでした。公判中なのに拘置所ではなく留置場にいるのは再逮捕されたからでしょうね」(同)
今後、留置場のルールが変わる可能性がある。「ブラジャーですら留置場では禁止だったわけですから、ももひきも禁止になるかもしれませんね」(同)
釈然としない結末だ。