滋賀県甲賀市立中の生徒が他生徒から嫌がらせを受けて不登校になり、市教育委員会がいじめの重大事態と認定していたことがわかった。調査した第三者委員会は、学校側が約9か月、生徒の訴えに対応しなかったため、「生徒が強い学校不信に陥った」などと指摘した。
調査報告書によると、2022年6月、当時1年生の生徒が担任との教育相談で「他の生徒から嫌がらせを受けた」などと訴えた。だが、学校側に期待した反応がなく、生徒は「悩みを聞いてもらえなかった」と強い不信感を覚え、同11月から欠席が目立ち始め、翌23年2月から連続して欠席するようになった。
同年3月に母親が学校に対応を依頼。学校が双方に聞き取り、加害生徒が謝罪する場が設けられた。しかし、その後も生徒の不登校が断続的に続き、同6月、いじめが原因とみられる欠席が30日を超えたため、市教委が重大事態と認定した。
第三者委は、生徒が他生徒に腕をたたかれたり、背中を押されたりしたことをいじめと認定。「学校側が被害生徒のサインにもっと注意を向けていたら、深刻なものとして聞くことができた。学校の体制、能力に課題がある」と指摘した。
市教委によると、加害生徒は反省しているが、被害生徒は今も欠席しがちで、学校が家庭訪問や学習支援を続けているという。
第三者委は23年10月に市教委へ答申し、今年1月にホームページで報告書を公表していた。