「派閥に残り安倍派を介錯する」──あの威勢の良さはどこへやらだ。先月、自民党本部で開かれた「政治刷新本部」で、所属する安倍派の自主解散を主張。冒頭の時代がかった表現で大ミエを切った“令和の介錯おじさん”こと、宮沢博行衆院議員の近況がさみしい。
宮沢氏といえば党内の誰もが裏金に口をつぐんでいた昨年12月、率先してキックバックを認め、派閥から政治資金収支報告書に記載しないよう指示があったと報道陣に説明。「はっきり申し上げます。『しゃべるな、しゃべるな』これですよ」と派閥の箝口令も暴露して一躍、名をはせたものだ。
その際、「多くの仲間も早く説明して、身の潔白を証明したいと思っていると推測する」と語っていただけに、衆院の政治倫理審査会は「身の潔白」を証明する絶好のチャンスだ。当然、自ら進んで出るのかと思いきや、朝日新聞が政倫審出席の意向を問うたアンケートには未回答。改めて宮沢事務所に聞くと「党本部から正式な連絡が来ていない。本人は連絡が来てから対応を検討したいと考えている」とのこと。
■あの威勢のよさはどこへ…
宮沢氏本人の携帯電話を鳴らしても一向に出る気配ナシ。手にした裏金は5年間で132万円。突出した額ではないのに、止めどなくあふれ出ていた活力は消え失せ、すっかりダンマリを決め込んでいる様子だ。あの爆弾発言は単なるパフォーマンスだったのか。それとも安倍派の解散で「介錯」がかなったと思い込み、放心しているのか。どうした? 介錯おじさん!
「宮沢議員は2012年初当選の安倍チルドレン。地元・静岡3区では常に立憲の小山展弘議員と接戦を演じ、決して選挙に強くない。4選を果たした前回21年は比例復活です。スタンドプレーで顔と名前を売ったのも選挙のためだったのでしょうが、泥舟だった安倍派には逆らえても、公認権を握る党本部を敵に回すわけにはいかない。ただでさえ、次の選挙は逆風予想の中、下手すると裏金議員は皆、公認を外されかねませんからね。だから、沈黙せざるを得ないのです」(政界関係者)
地元関係者には「独特の行動原理の持ち主で、周囲をア然とさせることも、しばしば。とにかく変わった人」と評判の介錯おじさんだが、意外と分かりやすい人なのかも知れない。