皇室への献上名目で農作物が詐取された事件で、詐欺などの罪に問われた農業園芸コンサルタント、加藤正夫被告(75)=東京都=の追起訴分の審理が26日、福島地裁(三浦隆昭裁判長)で始まり、加藤被告は茨城県内の被害についても「だますつもりはなかった。農作物は宮内庁に送ったほか、成分分析で使った」と無罪を主張した。
加藤被告は「迷惑をかけた。心から反省している」と謝罪。農家に偽の「献上依頼書」を渡したとされる偽造有印公文書行使罪について「宮内庁から教わった内容を、自分でハンコを作り記入した。偽造になるかもしれない」とも述べたが、代理人弁護士は宮内庁の承諾があるとして「詐欺の行為はなく、公文書も真正」と無罪を訴えた。
検察側は冒頭陳述で、被告が「他の献上品の品質が下がり、枠が空く」などと農家を勧誘したと指摘した。
被告は2023年12月の初公判で福島県内の起訴内容について否認。追起訴内容は、茨城県結城市の農家からトマト2箱など(時価合計約1万2000円相当)、筑西市の農家からシイタケ約2キロ(同約6000円相当)をだまし取ったなどとされる。【西夏生】