昨年1年間の茨城県内の刑法犯認知件数は、前年比23・6%増の1万9767件で、2年連続で増加したことが県警のまとめで分かった。新型コロナの5類移行で人流が回復した影響とみられ、コロナ前の2019年の水準に戻りつつある。被害に歯止めがかからない金属盗は前年比約1・8倍の2889件で、4年連続の全国ワーストとなった。
県警によると、県内の刑法犯認知件数が20年ぶりに増加に転じた22年に比べ、昨年は金属盗や自転車盗といった「非侵入窃盗」が3割増の9348件、詐欺などの「知能犯」も4割以上増の1035件で、全体の増加を押し上げた。
中でも金属盗は2位以下を大きく引き離して4年連続の全国ワーストとなり、早急な対策の必要性を浮き彫りにした。
県内の被害の約6割が太陽光発電施設で銅線ケーブルなどが盗まれるケースで、多くは防犯カメラが未設置だったり、人目につかない場所だったりするという。路上での被害も発生しており、昨年は常陸太田市や北茨城市で、橋の名前などが書かれた銘板が盗まれた。
いずれも金属価格の高騰を背景にした売却目的とみられ、県警は金属くず取り扱い業者への立ち入りを強化するなどしている。
一方、息子や孫を名乗って金銭をだまし取る「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」などの特殊詐欺は、前年比12件減の242件だった。
県警は、昨年5月から高齢者宅を訪問して防犯を呼びかける「巡回連絡」で固定電話の留守番電話設定を進めており、固定電話を端緒とする被害に一定の効果が表れたとみている。
一方で、携帯電話のショートメールやパソコンから有料サイトの利用料を請求したり、ウイルス除去費用などを求めたりする「架空料金請求詐欺」は前年から倍増しており、県警は警戒を強めている。
そのほか、殺人や強盗、放火などの重要犯罪は231件で、前年比19件増だった。殺人(19件)、放火(18件)、強盗(36件)は減少した一方、不同意性交や同わいせつは33件増の148件だった。
県警幹部は「あらゆる対策を講じ、県民のディフェンス力向上を図っていく」と話している。