衆院政治倫理審査会は29日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、岸田文雄首相(党総裁)に対する審査を行った。首相は政治資金規正法の改正に関し、会計責任者だけでなく政治家の責任も問う連座制の導入に前向きな意向を表明。事件を陳謝するとともに、首相在任中は自身のパーティー開催を自粛すると明言した。
現職首相の政倫審出席は初めてで、首相が申し出た。冒頭、首相は「国民の大きな疑念を招き、政治不信を引き起こしていることに対して党総裁として心からおわびする」と発言し、「コンプライアンス確立に向けた改革」を進めると語った。
政治資金収支報告書への不記載が始まった経緯などについては、2月15日に自民党が公表した聞き取り調査の報告書に沿って説明するにとどめた。
規正法改正に関し、首相は通常国会で実現させる方針を改めて示した。連座制の詳細は党で検討を急ぐとし、「一定の悪質な事案で、議員本人の責任を問うことは重要だ」と述べた。改正点として、政治団体に対する外部監査の導入、収支報告書のデジタル化も挙げた。
首相就任後に開いた自身の政治資金パーティーについては、「国民の疑念を招くものではない」と主張した。ただ、今後の対応として「在任中はやることはない」とも述べた。
裏金化に関係した議員に関し、首相は「説明責任を果たすことが重要だ」と強調。党の処分については「再発防止策と並行して事実確認に努め、政治責任も党として判断する」と語った。
また、「自浄作用が求められている。自民党は抜本的な出直しをしなければならない」と指摘。その上で「私自身、先頭に立って党改革・政治改革を進めていく覚悟だ」と訴えた。
◇二階氏の関与否定
この後、二階派事務総長だった武田良太元総務相が審査に臨み、事件を陳謝しつつ「裏金として処理するつもりは毛頭なかった」と主張した。二階俊博元幹事長の関与について「派閥の事務、経理に関わることはなかった」と説明。二階派パーティー券の販売ノルマに関しても「私や二階氏が決めたことは全くない」と語った。
[時事通信社]