塩野義製薬が開発し、2022年11月に緊急承認された新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、厚生労働省の専門家部会は4日、通常の薬事承認を了承した。緊急承認は1年間の期限付きで、塩野義製薬は23年6月に通常の薬事承認を申請していた。
緊急承認は、緊急時に限り有効性が「推定」される段階での実用化を可能とする制度。22年5月の医薬品医療機器法改正に伴って創設され、ゾコーバで初めて適用された。
塩野義製薬は、軽症と中等症の患者計約1800人を対象に「第3相」と呼ばれる最終段階の臨床試験(治験)を実施した。偽薬(プラセボ)を投与したグループとの比較で、ゾコーバを服用したグループでは、発熱やせきなどの5症状が消えるまでの時間が約24時間短縮されたとしている。
ゾコーバは新型コロナの国産の飲み薬として初めて実用化された。23年3月に一般流通が始まり、同9月まで全額公費で提供された。10月以降は所得に応じて最大9000円の自己負担を求めている。
投与対象は重症化リスクのない人を含む12歳以上の小児と成人で、感染初期に1日1回、5日間投与する。【添島香苗】