自民党、衆院3補選〝全敗〟危機 ポスター撤去要求、支えてきた地方が反発 予算案の成立は確実も…「岸田降ろし」加速

2024年度予算案は4日、参院予算委員会で基本的質疑が始まる。予算案は2日に衆院で開かれた〝異例の土曜国会〟で可決し、今年度内成立は確実だが、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、国民の「政治不信」は加速した。岸田文雄内閣や自民党の支持率は「危険水域」に沈み込んでおり、衆院3補選(4月16日告示、28日投開票)の全敗もあり得る情勢だ。
「関係者の尽力に心から感謝する。引き続き、参院で丁寧に審議に臨むことを通じ、早期成立に努力を続けたい」
岸田首相は2日、官邸で記者団にこう述べた。
現職首相として初めて政治倫理審査会に出席したのも、「能登半島地震対策も含まれた予算案の年度内成立ができなければ、首相としての求心力失墜は決定的だ。野党の協力を何とか得たい本音があった」(野党幹部)とされる。
ただ、状況は極めて厳しい。
3日公表のJNN(TBS系)の最新世論調査でも、内閣支持率は発足後最低だった先月調査を0・8ポイント下回り、22・9%。過去最低の更新は5カ月連続で、不支持率も74・4%と過去最高となった。
野党側も攻勢を強める。
立憲民主党の安住淳国対委員長は2日の党会合で、「逃げ切れると思ったら大間違い」と断言した。衆院政倫審は継続し、参院政倫審も来週から始まる見通しだが、野党側は、参考人招致や証人喚問をチラつかせる。
これまで自民党を支えてきた地方が反発している。
自民党関係者は「地方組織から『岸田首相の顔では選挙は戦えない』との声が強まっている。派閥の裏金事件に加え、岸田首相がロシアのウクライナ侵攻が始まり、安倍晋三元首相の暗殺事件があった22年に、年7回もパーティーを開いていた件もダメージだ。協力者から、自民党のポスター撤去を要求されるケースも増えているようだ」と語る。
衆院3補選は大逆風だ。
長崎3区は、裏金事件で略式命令を受けた谷川弥一前議員=自民党離党=の辞職によるもので、候補を擁立しない〝不戦敗〟で調整が進む。東京15区も、江東区長選をめぐる公選法違反罪で起訴された柿沢未途被告=同=の議員辞職が原因で逆風は確実だ。細田博之前衆院議長の死去による島根1区補選では、すでに候補者を擁立しているが、予断を許さない。
自民党ベテラン議員は「岸田首相は衆院解散を狙っているのかもしれないが、求心力は日に日に失われつつある。3補選全敗となれば、『岸田降ろし』のトリガーになるだろう」と語った。

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