富士山登山、山梨県の通行料2000円義務条例が成立…7月1日から施行

富士山の混雑解消や弾丸登山防止のため、吉田口登山道を利用する登山者に通行料2000円の支払いを義務付けた山梨県の条例が、4日の県議会本会議で全会一致で可決、成立した。7月1日から施行される。
条例は三つで、県道となっている吉田口登山道5合目から「泉ヶ滝」までを道路法上の道路から外し、県有施設に指定。5合目にゲートを設け、「保全協力金」(1000円)とは別に2000円の通行料を徴収する。通行料は基金として積み立て、富士登山の安全対策などに充てられる。
1日のゲート通過者が一定数を超えた場合などは通行の禁止を実施する。上限は1日4000人、午後4時~午前3時はゲートの閉鎖を想定する。
富士吉田市の堀内茂市長は成立を受けてコメントを出し、「県が条例を策定したことに感謝する」とした上で、「混乱が生じないようにしっかりと周知し、地元関係団体と合意形成を得て進めてほしい」と注文を付けた。
また、堀内市長は4日の定例記者会見で、5合目ゲートで実施する山小屋の宿泊予約の確認などについて、具体的な運用方法の説明が県からないことに言及。静岡県が入山管理システムの構築費を新年度予算案に計上したことに触れ、「山小屋関係者からは憂慮の声が出ている。静岡県以上にしっかりと対応しなければ混乱を招く」と危機感を示した。
一方、条例の成立を前に、富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合(恩賜林組合)は4日、県庁を訪れ、長崎知事に要望書を提出した。要望書では「権利関係を持つ組合に対し、何の説明もなく合意形成がされていない」と指摘。県が恩賜県有財産で事業を行う場合は、組合の意見を聞き、合意を得ることなどを求めた。

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