大学生、AI丸写しリポート提出も…教授「試験のあり方自体変えなければ」

チャットGPTなどの生成AI(人工知能)について、大学生の2人に1人が使った経験を持つことが、全国大学生活協同組合連合会の調査で判明した。利用経験はないが、今後使ってみたいという学生は回答した約1万人の3割近くに上り、専門家はリポートなどの課題で安易な使用をさせない指導が不可欠だと指摘する。
「AIを使う学生はどんどん増えている」。関西地方の私立大教授は、そう危機感をあらわにする。
AIが作成したリポートには、授業で触れたデータや視点が盛り込まれておらず、すぐにそれとわかる。にもかかわらず、平気でAIの回答を丸写ししたリポートを提出する学生があとを絶たない。対策として、この教授は「授業で学んだことを踏まえて書くこと」といった条件を課しているが、「AIの登場で、試験のあり方自体を変えなければいけない」と語る。
生成AI登場後、AIにリポートを書かせないよう注意喚起する大学は相次いだ。文部科学省も昨年7月、AIにリポートを書かせる行為は「学びを深めることにならない」「ひょう窃に当たる可能性がある」として、各大学にルールを整備するよう促した。だが学生に、AIに潜むこうした危険性が十分には浸透していない。
東京都内の私立大に通う4年の女子学生(22)は、リポート作成に生成AIを使っている。AIが作った文章の順番を入れ替えたり、堅苦しい表現を平易な言葉に置き換えたりして仕上げているが、「ネット検索と同じ感覚。罪悪感を持つこともない。この便利さに慣れると、もう後戻りできない」と明かす。
一方、都内にある別の私立大3年の男子学生(22)は、AIの安易な利用が独創性や著作権を軽視する風潮につながりかねないことを心配する。「法律やモラルが追いついていないのに技術ばかりが進化していく状況は危険だ」と感じているという。
金子元久・筑波大特命教授(高等教育論)は「AIの回答だけでは対応できない問いを示すなど、教員側の工夫が一層、重要になる。出力された文章には虚偽の情報が含まれるなど、AIの危険性を教える必要もある」と指摘している。

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