自公が次期戦闘機の輸出容認で月内合意へ…紛争を助長しないための歯止め策条件に

自民、公明両党は、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機について、第三国輸出の容認で月内にも合意する方向で検討に入った。紛争を助長しないための歯止め策を設けることを条件とする。政府が厳しい安全保障環境を考慮し、求めている高性能な戦闘機の確保に向け、大きな前進となる。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。岸田首相は5日の参院予算委員会で次期戦闘機に関し、「島国である日本の安全確保には、攻撃をできる限り遠方で阻止する、優れた空対空能力が重要だ」と強調した。
日本は専守防衛の観点から敵の侵略を洋上・遠方で迎え撃つため、次世代戦闘機に優れたセンサーや航続性能、レーダーに捉えられにくいステルス性などを持たせたい考えだ。
首相は英伊が第三国輸出を通じ、調達コストの削減を日本に求めていることに触れ、「日本から第三国移転を行う仕組みがなければ、価格低減の努力を行わないことになり、日本が求める戦闘機の実現が困難になる」と述べた。
第三国輸出を今回見送った場合、「国際共同開発・生産のパートナー国として、ふさわしくないと認識されてしまう」とも指摘。将来的に米国などとの開発計画に参加できなくなり、「日本が求める性能の装備品の取得・維持が困難となり、日本の防衛に支障をきたす」と懸念を示した。
公明は第三国輸出に慎重姿勢だったが、山口代表ら執行部は首相が安保上の必要性などについて説明したことを評価しており、歯止め策を具体化すれば、容認は可能だとの判断に傾いた。
政府・自民は第三国輸出容認について対象を次期戦闘機に限り、輸出相手国から紛争当事国を除外することで公明の理解を得たい考えだ。自公は近く政調会長会談を開き、輸出相手国に求める適正管理のあり方などの細部を詰める。
また、首相は5日、防衛装備移転3原則の運用指針が輸出可能と認める「救難」「輸送」など5類型の見直しに関しては、協議を続ける意向も示した。自民は類型の撤廃を主張しているが、公明は修正にとどめたい考えで立場に隔たりがある。

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