日本維新の会は6日、自民党に対し、防衛装備移転など安全保障分野に関する政策協議の枠組み設置を求めた。重要政策で政府・与党との連携を深め、維新の存在感を高める狙いがある。ただ、自民、維新両党の接近に公明党からは反発の声が出ている。
維新の遠藤敬国会対策委員長は同日、自民の浜田靖一国対委員長と国会内で会談し、防衛装備移転に加え、経済安全保障分野の機微情報に触れる資格者を政府が認定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度」に関する協議を提案した。会談後、遠藤氏は記者団に「ただ単に『反対』だけでは、日本の安全保障は守れない」と述べ、協議の必要性を強調した。
遠藤氏によると、浜田氏も協議に前向きな考えを示したという。遠藤氏は、維新と衆参で統一会派を組む「教育無償化を実現する会」の前原代表も協議に参加する見通しを明らかにした。
防衛装備品の輸出規制緩和を巡っては、自民が公明と国際共同開発品の第三国輸出に関する議論を重ねている。適性評価制度に関しても、政府が、情報漏えいに罰則を科す「重要経済安保情報保護・活用法案」の今国会成立を目指すなど、いずれも今後の国会審議で焦点となる可能性がある。
維新は国会対応でも、衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会を改組し「政治改革特別委員会(仮称)」を設置することを自民に働きかけ、与野党合意にこぎ着けるなど、自民への接近を強めている。
安倍、菅政権と維新は親密な関係を築いてきたが、岸田政権とは距離があるとされてきた。「政治とカネ」を巡る問題で岸田首相の政権基盤が揺らぐ中、自民ベテランは「自民支持層の取り込みも意識しているのだろう」と分析する。
自民にとっても、重要政策の協議に維新を巻き込むことで、与野党の幅広い合意が得られるとの思惑がある。
これに対し、公明は警戒を強めている。高木政調会長は6日の記者会見で、装備品の輸出規制緩和について、自民、維新の幹部に個別に「与党で協議をしており、政府の決定に野党が関わることはない」と伝えたことを明らかにした。高木氏は「(自民、維新の)装備移転の協議は行われないと思う」とも語り、不快感を示した。
次期戦闘機輸出 立民・泉氏は反対
立憲民主党の泉代表は6日のラジオ日本の番組で、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出について、「なし崩し的に(容認に)なるのはちょっとまずい」と反対する考えを示した。
ロシアの侵略を受けるウクライナを例に挙げ、「日本には攻撃型兵器を求めているというより、民生支援を要請してきている」と強調。「日本の武器が世界各国で人を殺すために使われることは避けるべきだ」とも語った。