横浜の中2女子死亡、学校は「いじめ」認知せず 市教委謝罪も遺族は不信感

令和2年3月に当時横浜市立中学2年だった女子生徒がいじめで自殺したと市の第三者委員会に認定された問題で、学校側は自殺後もいじめを認知せず、遺族側に学校の対応などの経過を説明していた。聞き取りなどを尽くしていじめを認知することの重要性が指摘される中、学校、市教育委員会の生徒に寄り添う姿勢が改めて問われる。
学校側、十分な聞き取り行わず
「かけがえのない生徒の命を守れなかった。痛恨の極み。生徒とご遺族の皆さまに、心からのお悔やみを申し上げますとともに、おわび申し上げます」。8日の記者会見で、鯉渕信也教育長は頭を下げた。
第三者委の報告書では学校側が自殺前、クラスメートたちに十分な聞き取りなどを行わず、いじめを認知しなかったことが指摘された。遺族は代理人の石田達也弁護士を通じて「学校として早い段階で認知して、つらい気持ちを理解して、いじめの解消に動いてくれていたらと残念でなりません」などとするコメントを発表した。
女子生徒が亡くなった後の市教委の対応も遺族の信頼を損ねるものだった。
事実から目をそらすかのような対応
生徒が自殺した場合、学校側は「より多くの事実を集め、整理して遺族に報告する」ために基本調査を行うが、市教委学校教育事務所は調査の目的を「学校が当該生徒をしっかり見守っていたことが遺族に伝わること」に設定した。
その結果、学校が当初作成した報告書案にあった「いじめの相談」の文言が「人間関係の相談」に変更されるなど、報告書から「いじめ」の文字が削除された。
事実から目をそらすかのようにもみえる対応について、調査した第三者委の栗山博史委員長は「市教委の対応は(基本調査の趣旨とは)全く違う」と指摘。そのうえで「(いじめが原因で亡くなったということになれば)学校側としては、自分たちの責任を明らかにするという趣旨なので非常に難しい作業」とし、基本調査の開始時から第三者を関与させる態勢整備などを求めた。(橋本謙太郎、高木克聡)

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