和歌山県串本町で小型固体燃料ロケット「カイロス」打ち上げが延期となった9日、同町の見学場の田原海水浴場でも、集まった大勢の人たちがロケットが映し出された大型スクリーンを前に声を出してカウントダウン。しかし、ロケットは動かず、次回の打ち上げに期待する声が聞かれた。和歌山県の岸本周平知事は報道陣に「産みの苦しみということもある。後のほうが楽しみも増える」と前を向いた。
約110人のボランティア団体「和歌山ロケット応援団」団長で、南紀串本観光協会職員の青木圭さん(47)は同海水浴場のブースでロケット関連商品を販売しながら初号機打ち上げを待った。「ロケット打ち上げは直前の延期がつきもの。次回、打ち上がるのを楽しみにしている。観光の起爆剤になるのでこれからも応援したい」と話した。
滋賀県長浜市の会社員、関谷兼司さん(37)は「ロケットの発射はインターネットで見たことはあるが、肉眼で見たことはなく、(今回見られなくて)残念」と惜しんだ。和歌山市の地方公務員、坂田拓彌さん(30)は「カウントダウンのときはドキドキし、待っているのが楽しかった。次に期待したい」と語った。
岸本知事は「この延期をスタートの日と考え、発射日を待ちたい」と述べた。串本町の田嶋勝正町長は「初号機打ち上げとしては最高の天気だっただけに残念」とし、「初号機は早く打ってほしい。まず一発打ってくれたら雰囲気も変わるのではないかと思う」と話した。