ステージ4のすい臓がんで余命2年宣告のYouTuber 襲い掛かる、1日数百件の“誹謗中傷”それでも投稿を続ける「誰かの希望になれば…」

日本一周旅行の途中に、がんであることがわかった札幌市のYouTuber。 公表した途端、いわれなき中傷にさらされ、身の危険さえ感じたといいます。 それでもYouTuberとして生きていく2人の今を取材しました。
みずきさん(33)・こうへいさん(36) 「では、やってきましたー到着しました!篠津湖―!もう一回やるか」
ワカサギ釣りに初めて挑戦するのは、札幌に住む、みずきさんとこうへいさんです。
YouTube「sunny Journey」より 「サニジャニのこうへいです~みずきです」
2人の職業は、チャンネル登録者数22万人の人気のYouTuberです。
「おーダブル、やったーすごいすごい!お兄さんに教えてもらったらあっという間に釣れた」
全国各地の魅力を自ら体験して発信。笑顔の絶えない、旅系のYouTubeチャンネルです。
2022年の春、住んでいた沖縄の家を引き払い、キャンピングカーで日本一周を開始。しかし、2022年10月、四国の旅の途中…。
(YouTube「sunny Journey」より) みずきさん 「腺房細胞がんという病名がつきました」
突然の余命宣告。みずきさんはステージ4のがんで余命2年と告げられたのです。
旅を中断し、故郷の札幌で治療することを決めたみずきさん。動画でがんを公表しました。
診断書や主治医の話によれば、みずきさんのがんはすい臓がんの中でも、1割以下にとどまる珍しい症例だということです。
みずきさん 「まさか自分がそういう大きい病気になるって思ってもいなかった。一人でも誰かの助けになればと思って情報発信を続けていきたいなっていうのは結構すぐに思いました」
50万回で「バズる」と表現するYouTuberの世界で、がんを公表した動画の再生回数は、465万回。登録者数も一気に20万人ほど増えました。
しかし、2人には、予想しなかった誹謗中傷が待っていました。
(YouTube「sunny Journey」より) こうへいさん 「僕たちは戻れるなら戻りたいと思ってますよ」 みずきさん 「どんなに疑われたって私たちはこれが事実なので」
こうへいさん 「あるYouTuberに嘘じゃないかということを取り上げられて大炎上したときがあって、そのときは…やめるとまでは思わなかったですけど、なんでこんなことやってんのかなって思った」
(インターネット上の書き込み) 「なんやこの詐病詐欺師殺すぞ」 「嘘でガンって言って金巻き上げるのヤバない?」
闘病中の2人に、インターネット上で心無い誹謗中傷が寄せられたのです。
治療費の捻出のため、動画でクラウドファンディングの実施を発表したのがきっかけでした。
実施を断念したにもかかわらず、誹謗中傷は1日数百件にのぼることもあったといいます。
住所や通院先を特定しようとする者もあらわれました。
こうへいさんは、みずきさんに否定的なコメントを見せないように、寄せられたコメントひとつひとつに目を通してブロックしています。
「匿名だから何をしたっていい」そんな風潮に、憤りを露わにします。
こうへいさん 「YouTuberである以上『叩かれたって、それを肥やしにやっていかないとダメだ』みたいな。押しつけられてしまっている」
2人は明るくふるまいますが、心の内には恐怖や不安を感じていました。
みずきさんの病気がわかってから1か月後、2人は婚姻届を出しました。
当時は闘病中だったこともあり、結婚式を見送りました。
そして2月。人生の大きな節目を迎えるため、北海道を旅立ちました。
こうへいさん 「もともと僕たちが一番大変だったときに、仕事と言う形で支援できないかとここの式場のひとが言ってくださって」
大切なひとたちに、元気な姿を見せたいと1年遅れの結婚式を開きます。
みずきさん 「一応抗がん剤は終えているが、再発しやすい病気ではあるので、(薬を投与するための管を)半年くらいは入れたままにしようかって」
抗がん剤の副作用で薄くなった髪に、ウィッグをつけ、肩に残った薬を投与するための管も、ボディシールで隠します。
みずきさんは抗がん剤と手術が功を奏し、現在「画像に見える範囲にがんがない」ところまで回復しました。
みずきさん 「もうすこし式をあとにすることも考えたが、半年先とかいうと今でも自分の病気がどうなるかわからなくて、正直自信がなかったので」
親族や近しい友人を前に、誓いをたてる2人。
こうへいさん 「生きてくれていてありがとう。これを一番に伝えたいです」 みずきさん 「いつも熱くまっすぐな愛で優しく抱きしめてくれたね。それは私の命の長さを告げられた時も変わりませんでした。愛する人のために生きたい、これが私の一番の生きる力です」
10日、2人は新たな動画を投稿しました。
「YouTubeの中で誰かの希望になれれば…そして、視聴者の言葉に励まされながらこの1年やってきた」
みずきさんはこう話し、これからもYouTuberとして生きていくことを決めています。
2人は、同じ病気と闘う人たちの支えになればと、闘病生活を綴った本を3月発売するということです。 こうへいさんは、寄せられた誹謗中傷には、手間はかかりますが去年から法的な対応をとるようにしています。 住所の特定や家族への影響も考えたためです。 弁護士費用を加味すると、赤字になることも多いといいますが、こうへいさんは「ガマンするだけの時代を変えたい」と話しています。 みずきさんの体調を考えながら、明るい旅チャンネルのコンテンツを、まずは、北海道内から増やしたいと話しています。

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