2023年4月の東京都江東区長選を巡り、公職選挙法違反に問われた前区長の木村弥生被告(58)は18日、東京地裁(鎌倉正和裁判長)で開かれた初公判で起訴内容を認めた。被告人質問で「悔やんでも悔やみきれない。心からおわびする」と涙ながらに謝罪した。
起訴状によると、木村前区長は、元衆院議員の柿沢未途被告(53)=同法違反で有罪判決=と共謀し、選挙期間中の23年4月に同法が禁じている有料ネット広告(約37万円)を動画投稿サイトに掲載したとされる。当選後の同6月には区長室で、元区議の板津道也被告(54)=同法違反で在宅起訴=に選挙を支援してくれた報酬として現金100万円を渡したとされる。
検察側は冒頭陳述で、木村前区長が柿沢元議員から有料ネット広告を勧められ、「高額の費用をかけずに自身の知名度を向上できる」と考えたと指摘した。選挙後に報道機関から質問を受け、陣営スタッフが独断で掲載したとの虚偽説明をしたと述べた。
木村前区長は被告人質問で「選挙に強い柿沢先生に勧められたので、違法だとは思わなかった」と振り返った。虚偽説明は「しがらみや葛藤の中で苦渋の決断だった」と語った。また、板津元区議は区長選と同じ日にあった区議選で次点で落選しており、木村前区長は「熱心に支援してくれていた。申し訳なさと、ねぎらいたい気持ちがあった」と100万円を渡した理由を述べた。【斎藤文太郎】