自民・下村氏、還流復活の経緯「承知せず」=安倍派裏金、自身の関与も否定―衆院政倫審

衆院政治倫理審査会は18日、自民党安倍派(清和政策研究会)の裏金事件に関し、事務総長を務めた下村博文元政調会長に対する審査を全面公開で行った。下村氏は自身が参加した、パーティー収入のキックバック(還流)復活を協議した2022年8月の幹部会合について「還付(還流)をやめる前提で議論したが、結論が出なかった」と説明。「(復活を)どんな形で誰が決めたのか、全く承知していない」と語った。焦点だった復活の経緯を巡る新証言はなく、真相解明は進まなかった。
幹部会合には、下村氏の他に塩谷立・元総務会長、西村康稔前経済産業相、世耕弘成前参院幹事長らが出席。塩谷、西村、世耕の3氏は既に衆参政倫審で審査に応じ、会合で還流復活は決まらなかったとする西村、世耕両氏と、「継続になった」と説明した塩谷氏の間で食い違いが生じた。今回の下村氏の発言は西村、世耕両氏の発言と同様のものだ。
幹部会合について、下村氏は「還付を継続するかやめるかという話が中心ではなく、故安倍晋三元首相が亡くなった後の派閥の会長と運営、安倍氏の葬儀への対応が中心だった」と強調。下村氏は今年1月の記者会見で「還流分を個人のパーティーに上乗せして政治資金収支報告書で合法的に戻す案もあった」と明らかにしたが、政倫審でこの案について「誰が最初に言ったのかは覚えていない」と述べた。
還流について、派閥会長だった安倍氏が22年4月に還流中止を指示したが、同年7月の安倍氏死去後に一転して復活した。下村氏は4月に安倍氏からの指示を受け、幹部が手分けして所属議員に還流中止を連絡したと明かした。
下村氏は裏金づくりについて「国民に多大なる不信と疑念を抱かせた。心より謝罪する」と陳謝。18年1月から19年9月まで同派事務総長を務めたことに触れた上で「安倍派の会計には全く関与していなかった」と語り、派閥の収支報告書不記載への関与も否定した。
[時事通信社]

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