海自、21年潜水艦事故で5人懲戒処分 23年の護衛艦事故でも処分

海上自衛隊は19日、高知県・足摺岬沖で2021年2月に海自の潜水艦「そうりゅう」が貨物船と衝突した事故で、注意義務を怠ったとして艦長だった恒次啓介2等海佐(52)ら4人を減給1カ月(15分の1~30分の1)、艦長への指導が不十分だったとして監督役だった1佐を戒告とする懲戒処分をした。
そうりゅうは21年2月8日、足摺岬南東の太平洋で、潜望鏡で洋上を見る「露頂」と呼ばれる作業のため浮上中、貨物船の船底に衝突。そうりゅうの乗員3人が負傷した。海自は、艦長や業務全般を取り仕切る哨戒長だった幹部、水中音波探知のまとめ役だった海曹長ら4人が周辺海域の状況把握に関して必要な報告や確認をしないなど、注意義務を怠ったと判断した。
また、海自は19日、23年1月に山口県・周防大島沖で座礁した護衛艦「いなづま」の艦長だった相沢一実2佐(42)を停職1カ月、幹部の乗員4人を同1~3日の懲戒処分とした。
いなづまは23年1月10日、周防大島から南約5キロの海上で浅瀬に乗り上げ、自力航行できなくなった。艦長や哨戒長など幹部5人について、出航前に航路や海域の安全を確認するための会議を実施しなかったり、それを看過したりするなど注意義務を怠ったとした。
そうりゅうは既に26億円かけて修理が完了した。いなづまは修理中で、40億円かかる見込み。
海自トップの酒井良・海上幕僚長は19日の記者会見で「潜水艦、護衛艦が基礎的事項をおろそかにして事故を生起させ、国民の信頼を大きく損ね、じくじたる思いを禁じ得ない。いずれも事故原因の一つに艦長の指揮監督不十分が挙げられ、深く反省している」などと述べた。【松浦吉剛】

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