強盗「ルフィ」と特殊詐欺を仲介した疑い 接見の弁護士を書類送検

全国で相次いだ広域強盗事件に「ルフィ」などと名乗る指示役で関与したとされる今村磨人被告(39)=強盗致死罪などで起訴=に接見した際、フィリピンで特殊詐欺に関わったとされるグループの幹部らと不正に電話で話をさせたとして、警視庁捜査1課は19日、広島弁護士会所属の加島康介弁護士(49)=東広島市=を証拠隠滅容疑で書類送検した。捜査関係者への取材で判明した。捜査1課は、加島弁護士が、グループ幹部らの意向を伝える目的で数回にわたり今村被告と接見したとみている。
捜査関係者によると、加島弁護士は2023年2月下旬以降、警視庁原宿署(東京都渋谷区)で今村被告と接見した際、元暴力団組員らがフィリピンで組織した「JPドラゴン」と呼ばれるグループの幹部数人と自身のスマートフォンを使ってビデオ通話をし、今村被告と会話をさせたなどの疑いがあるという。
今村被告はJPドラゴンとも接点があったとされ、幹部らはグループが関与したとされる特殊詐欺事件などについて「面倒を見るから話すな」などと、今村被告に求めたとみられる。捜査1課は、起訴の判断を検察に委ねる「相当処分」の意見を付けた。
今村被告の通話相手の一人は、JPドラゴンの幹部とされ、国内の特殊詐欺事件に関わったとして警視庁が窃盗容疑で逮捕状を取った小山智広容疑者(49)の可能性がある。フィリピンの入管当局は1月、現地で詐欺事件に関与したとして、小山容疑者の身柄を拘束している。
加島弁護士は新型コロナウイルス対策の国の「持続化給付金」などをだまし取ったとして、22年6月に詐欺容疑で逮捕され、その後に起訴された。接見時は保釈中で、今村被告を弁護人として担当してはおらず、自ら接見を申し込んでいたという。1審・広島地裁で実刑判決を受け、高裁で控訴が棄却され、上告している。
捜査1課は23年11月、加島弁護士の事務所や自宅を証拠隠滅容疑で家宅捜索していた。【岩崎歩、林田奈々】

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