能登半島地震の被災地を訪問した天皇、皇后両陛下は22日、避難所に身を寄せる人たちに、住まいや体調を気遣う言葉を掛けられた。床に膝をつき、同じ目線で語り掛ける姿に、被災者からは「心が和んだ」と感謝する声が上がった。
大規模火災で一帯が焼け野原となった石川県輪島市の朝市通り周辺で、両陛下は深く頭を下げ、約10秒間目を閉じて黙礼した。坂口茂市長によると、黙礼は「周辺で15人が死亡した」と説明した直後。両陛下は朝市の復活や、輪島塗の復興も願っていたという。
避難所の「輪島市ふれあい健康センター」では、膝をつき、段ボールベッドに座る被災者と目線の高さを合わせ、一人一人と言葉を交わした。
天皇陛下は、同市の新谷満さん(60)に「自宅は大丈夫なんですか」と質問。皇后さまは隣に座った80代の新谷さんの母親を「お体の方は大丈夫ですか」と気遣った。新谷さんが住めなくなった自宅の状況を説明すると、両陛下は何度も「大変ですね」と述べた。
続いて同県珠洲市を訪れた両陛下は、避難所となっている市立緑丘中学校の体育館で被災者約30人と面会。しゃがんだり膝をついたりして声を掛けて回った。天皇陛下は「水はどのように」などと尋ね、「お大事になさってください」と話して避難所を後にした。同市の橋元繁幸さん(69)は「非常に大きな励みになりました」、妻のひろみさん(65)は「両陛下の優しさが伝わってきて感謝です」と喜んだ。
津波が到来した同市飯田港では、大きな被害が出た宝立、蛸島・正院両地区の方に向かって黙礼。同行した泉谷満寿裕市長によると、天皇陛下は珠洲焼のことを心配していたといい、市長は「励まされ、勇気を頂いた。心から感謝している」と話した。
両陛下は22日夜、能登空港で見送った馳浩知事に「本当によく大変さが分かりました」と感想を述べていたという。
[時事通信社]