カワノアユミの盛り場より愛を込めて 大阪・北新地「夜の蝶」たちが追い込まれた苦境 横行する〝詐欺〟まがい行為 背景にコロナ後と「ホステスの高齢化」

大阪・北新地。高級クラブやラウンジが軒を連ねる関西随一の繁華街でいま、クラブホステスがマッチングアプリを利用して男性を誘い込み、店に無理やり連れて行く客引き行為が横行しているという。
中には40代の女性にデートと称して誘われ、クラブに無理やり連れて行かれて十数万円もするシャンパンを入れさせられたという男性も。客を多く持っているはずのクラブホステスが、なぜそんな〝詐欺〟まがいの行為に手を染めているのか。北新地のラウンジに勤務する30代のホステスを直撃してみた。
「いま、北新地のクラブやラウンジは窮地に立たされているんです。きっかけはコロナ禍でした。感染拡大の初期に『北新地のクラブがコロナの発生源だ』との噂が立ったことで、ごひいきにしてくださっていた年配の社長さんたちが、一気に店に来なくなったんです」
やがて規制が緩和されても、状況はなかなか好転しなかったという。
「コロナ禍中に接待を含む飲み会が禁止になったことから、お得意さまの会社のほとんどが経費を使えなくなりました。企業が店を使ってくれないと若手の社員や部下も来なくなりますから。それに、コロナ禍の間に亡くなった年配のお客さんも多いんですね…」
北新地に客が戻らなかったことで、苦境に立たされたホステスたちがマッチングアプリで客を捉まえているというのだ。さらに女性は続けた。
「ホステスの高齢化も背景にあると思います。クラブでは基本的にママがお客さんを持っていて、若い新人ホステスはヘルプという形でお客さんについて営業や同伴をします。でも最近は若いホステスがなかなか入店しないんです。20代のうちは何もしなくてもチヤホヤされていたホステスが30代、40代になって新規のお客さんを捉まえづらくなったというのもあると思います」
キャバクラや高級クラブ内の厳しいしきたりをわずらわしく感じるのは今どきの若者世代だけではない。その結果、クラブホステスだった女性たちまでが、いまや熟女キャバクラなどに流れているというのだ。
熟女キャバクラの給料は高級クラブの半分以下程度。だが、クラブホステスは月4~5回の同伴ノルマがあるのに比べ、熟キャバではクリスマスやバレンタインなどのイベント程度と厳しくない。
いっそ時給を下げて気楽に働くか、たとえアプリで客引きをしてでも高い時給を優先するか…。それはホステスとしての、いや、女としての別れ道なのかもしれない。
■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。X(旧Twitter):https://x.com/ayumikawano/

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする