宝塚歌劇団(兵庫・宝塚市)の宙組娘役・Aさん(享年25)が昨年9月に転落死した問題で、親会社の阪急阪神ホールディングス(HD)は28日、Aさんへの14項目のパワーハラスメントを認め、慰謝料などを補償する内容で遺族側と合意書を締結したと発表した。この日午前、角和夫HD会長(74)らが遺族に直接謝罪。パワハラ行為をした上級生からの謝罪の手紙を遺族側に手渡した。
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急死した劇団員の遺族代理人を務める川人博弁護士らは28日、歌劇団の会見と同時刻に厚生労働省の記者クラブで会見した。
川人弁護士はこの日午前に、大阪市内のホテルで阪急・歌劇団側が14項目のパワハラを認めて謝罪したことを報告し「この意義は大きい」と一定の評価を示した。一方で、当初は歌劇団側がパワハラの事実を認めなかったことなどから「反省し改善すべき点は無数にある。将来ある若い劇団員の命が奪われた事実は、いわゆる『ジャニーズ問題』に勝るとも劣らない重要な芸能界における人権侵害事件だ」と厳しく非難した。
川人弁護士によると、パワハラ行為には宙組の上級生ら「少なくとも10人」が関わっていたと説明。内訳について「宙組の幹部上級生4名、幹部ではない上級生3名、プロデューサー2名、演出担当者1名」と明かした。そのうち6人からこの日、遺族への謝罪文が提出された。「連名ではなく、それぞれ個別で6通受け取った。直筆で書かれたものもあった。ヘアアイロン事件に関わった上級生1名からも謝罪文が出ると聞いている。他の人(3人)は提出しないと受け止めている」とした。