小林製薬(大阪市)の「 紅麹 」成分入りサプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題で、厚生労働省と大阪市は30日午前、食品衛生法に基づき、紅麹原料を製造した同社の大阪工場(大阪市淀川区、閉鎖)に立ち入り検査を始めた。紅麹原料から検出された天然化合物「プベルル酸」が原因の可能性があり、厚労省と市は製造工程を詳しく調べ、原因の究明を進める。
同社によると、29日時点で、サプリ「紅麹コレステヘルプ」を摂取した5人が死亡、114人が入院し、約680人が通院(予定を含む)している。
同社は2021年2月にこのサプリを発売。これまでの調査で、大阪工場で23年4~10月に製造したサプリ用の紅麹原料に、健康被害につながる可能性がある「未知の成分」が含まれていた。サプリ自体は、この原料を使って岐阜県の工場で製造されていた。
「未知の成分」について同社と厚労省は29日、「プベルル酸」とみられると公表した。青カビが生成する化合物の一種で、感染症のマラリアに効果があり、非常に毒性が強いとされる。人体への影響はわかっていない。
大阪工場では16年から自社や企業向けに紅麹菌を培養し、紅麹原料を製造していた。同社は、紅麹菌がプベルル酸を生成するとは考えにくいとして、製造過程でカビ類が混入した可能性があるとしている。
大阪工場は昨年12月に老朽化で閉鎖され、製造に必要な設備は、子会社の和歌山工場(和歌山県紀の川市)に移された。小林製薬は和歌山工場について「カビが生えるところがないかラインを総点検している」と説明している。
厚労省は31日、和歌山工場も立ち入り検査する方針。大阪工場の現状を確認し、同社から説明を受けたうえで、実際の製造ラインを調べて原因究明を急ぐ。プベルル酸についても、人体への影響などの調査を進める。
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大阪工場では午前11時頃、大阪市職員5人が同社社員とともに入り、厚労省の職員11人も後に続いた。現場で同社の広報担当者は報道陣に「調査には誠実に対応し、しっかりと協力します」と話した。