能登地震の水道被害は過去最大、東日本大震災の約7倍 発生3カ月

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県では水道管の復旧が難航、断水は長期に渡った。能登町では水道管の1キロメートル当たりの被害箇所数が、東日本大震災で最も被害を受けた地域の約7倍と過去最大の被害だったことが判明。過去の大地震と比べ復旧は遅く、国は対応を検証する。(王美慧)
地震発生後、石川県内は約11万戸で断水。3月1日までに83・2%が解消し、同29日現在で珠洲市など3市2町の7860戸で断水が続いた。
国は上下水道の地震対策を検討する有識者会議の初会合(同12日)で被害状況を報告した。水道管の1キロ当たりの被害箇所数は、能登町が2・66カ所、輪島市が2・63カ所、穴水町が0・9カ所。東日本大震災の宮城県涌谷町は0・36カ所、阪神大震災の兵庫県芦屋市は1・61カ所で、能登半島地震の被害が過去最大だった。
発災15日時点の断水戸数の比率(断水率)は能登半島地震48・3%、東日本大震災19・2%、熊本地震2・9%。下水道は石川県6市町の総延長773キロのうち282キロで被害や疑いがある。
有識者会議のメンバーで金沢大の宮島昌克名誉教授(ライフライン地震工学)は「地震動が極めて大きかったことと能登半島が山地、丘陵地に覆われた地形で斜面崩壊や道路の隆起、陥没などの地盤災害が多かったことが被害の大きかった要因の一つとして挙げられる」と分析。水道施設が被災したほか、水道管が人口の多い地域の網目状とは異なり枝状のため上流からしか修繕できないことなどが、復旧の遅れにつながったという。
国によると過去の災害では、一つの被災自治体の上水道と下水道で別々の自治体が復旧支援にあたるケースがほとんどだった。能登半島地震では初めて、国の調整で一つの被災地に同じ自治体の上下水道の職員らを応援に入れるなど、上下水道一体となった応急復旧に取り組んだが、今後、十分に機能したかを検証する。

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