被災地の排せつ物問題、解決策は 専門家「7日分の携帯トイレ備蓄を」

今回の地震では震災直後から、トイレが大きな問題となりました。解決策は、ないのでしょうか?
大きな被害が出た輪島朝市の近くの公衆トイレ。断水などの影響で、水洗トイレが使えなくなったにもかかわらず、用を足し続け、排せつ物があふれてしまっていました。
被災地には「使用不可」になったトイレがあちこちに…
穴水町で避難していた女性「どうしても水が流れないと、あふれてしまって大変だった」
しかし、トイレに行くのを我慢したり、水分を控えたりすると膀胱炎や、エコノミークラス症候群などを引き起こし、災害関連死につながるおそれも…どうしたら「使用不可」になる事態を回避できたのでしょうか?
「(災害時が起きたら)まず携帯トイレを取り付ける」
こう指摘するのはNPO法人「日本トイレ研究所」の加藤篤代表理事。20年ほど前から、様々な被災地で支援や調査を行ってきた加藤さんが、何より必要だと指摘するのが、「携帯トイレ」です。
日本トイレ研究所加藤篤代表理事「(地震後)3時間以内に4割の人がトイレに行く。いろいろやっている間にトイレに行ってしまう。便器が大小便であふれることになり、水がない中で対応できなくなる」
「携帯トイレ」は便座を覆うように取り付けた袋の中に用をたし、吸収シートなどで固めるもの。用をたしたあとは口を結んで捨てるだけで、「詰まらせる前に使うのが大切だ」といいます。
加藤さんらの調査では2016年に発生した熊本地震の際、発災後3時間以内にトイレに行きたくなった人は4割。6時間以内では、7割以上にのぼりました。
携帯トイレは「食料よりも早く必要になる」とも言えますが…
10代(名古屋市内先月)「食料はないと、やばいとなるが、トイレまでは…」40代「あんまりトイレを備蓄するというイメージがない」
街では食料や水を備えている人が8割以上いた一方、トイレを備えている人は3割ほどに留まりました。
備蓄がなかなか進まない背景を、加藤さんはこう指摘します。
日本トイレ研究所加藤篤代表理事「排せつというのは会話に出てこない。話題にならないことは、災害時の備えに思い至らない。ここに落とし穴がある」
実際の備えとしては「7日分が理想」ということで、4人家族で、1日の排泄回数を5回とした場合、140回分の備蓄が必要だと言います。
日本トイレ研究所加藤篤代表理事「(140回分は)段ボール1箱分くらい。トイレは支援も遅れる。これくらいあると安心」
ただ、「携帯トイレ」は臭いを完全に防ぐことはできません。能登半島地震を機に「臭い対策もできる」商品に注目が!
簡易トイレ「ラップポン」は、ボタンを押すと、排泄物が入ったフィルムを熱で圧着し、1回ごとに自動で密封できるんです。刺激臭のあるアンモニアを混ぜた水を準備し凝固剤につづけて、入れてみると…
記者「ちょっと尿特有のアンモニア臭がする状態です」
飛び散った排泄物も閉じ込めます。
記者「密封されているので臭いも全く感じません」
この簡易トイレは水が使えない、能登半島地震の被災地におよそ650台搬入されました。輪島市のこちらの介護施設では、被災直後は川の水をくんできて、トイレを使っていたと言います。
もんぜん楓の家岡山人美施設長「臭いがしない。水がなくても大丈夫、電気さえあればOK、とても便利」
電動式のものはおよそ20万円(自動ラップ式トイレ「ラップポン・トレッカーWT-4(S)木目(ブラック)」19万5800円)と、値が張りますが…手動で密封できる、およそ3万円のタイプ(手動ラップ式簡易トイレ「ラップポンSH-1」2万9700円)も販売されています。
忘れがちですが、実は重要な「トイレの備え」。選択肢も増える中、「備蓄の落とし穴」のままにはしておけません。

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