1匹数万円の「幻のカニ」と偽り販売容疑、祇園や高級料亭との取引うたう水産会社役員ら逮捕

兵庫県産のズワイガニを京都府京丹後市産のブランドガニ「 間人 ガニ」と偽って販売したとして、京都府警は4日、同市の水産品加工販売会社「まるなか水産」役員の男(42)を不正競争防止法違反(誤認 惹起 )と商標法違反(侵害とみなす行為)の両容疑で、同社元従業員の男(52)を不正競争防止法違反(誤認惹起)容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
間人ガニは京丹後市の間人漁港で水揚げされるズワイガニで、流通量の少なさや品質の高さから「幻のカニ」と呼ばれ、1匹数万円の高値で販売されている。府漁業協同組合が2006年に特許庁に「地域団体商標」として出願し、登録された。
捜査関係者によると、役員らは共謀し、23年2月、兵庫県で水揚げされたズワイガニを間人ガニと偽って販売。今年2月、京丹後市の同社加工場で間人ガニであることを示す緑色のタグを産地偽装の目的で所持し、府漁業協同組合の商標権を侵害した疑い。
地域ブランドのズワイガニは水揚げされる漁港ごとに異なる色や形のタグで区別され、間人ガニの場合、緑色のタグが取り付けられる。同社の事務所などからは未使用とみられる多数のタグが見つかっており、府警は入手経路を調べる。
法人登記によると、まるなか水産は12年5月に設立。同社の公式ホームページでは、取引先として地元の温泉旅館のほか、京都・祇園や東京都内の高級料亭などが紹介されている。
◆間人ガニ=間人漁港で水揚げされるズワイガニの別称。丹後半島近海で11~3月に漁獲され、漁師が身詰まりや大きさなどを厳しく選別し、その日のうちに競りに出す。初競りでは1匹10万円を超える値がつくこともある。

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