千葉県市原市議会の永野喜光前議長によるセクハラ疑惑で、市議会の政治倫理審査会は5日、永野氏の行為が「議員辞職勧告」に相当するとの報告書を公表した。被害を訴えた女性市議や酒席に同席した市議の証言が具体的だとして、セクハラがあったと認定した。
政倫審は3月から、永野氏や女性市議、目撃した市議に事情聴取を実施。永野氏の行為が、市議会議員政治倫理条例に規定する「政治倫理基準」の「他者へのハラスメント行為」などに当たると判断した。
報告書によると、永野氏は議長だった2月11日、市内の会合で女性市議の両手を握り、手のひらで女性のあごも触った。男性市議に「口説いてやった」と発言し、近くにいた女性市議にも聞こえていたという。
事情聴取で、永野氏は「単なる握手」と弁解した一方、複数の市議は「通常の握手と言える長さではなかった」と証言した。あごに触れた点を巡っては、否定する永野氏に対し、女性市議は「真っ赤な顔でにやにやしながら無言で手を伸ばしてきた」と答えた。
「口説いた」との発言について、永野氏は「男同士の会話で冗談半分に言ったのではないか」と不明瞭な弁明にとどまった。発言を聞いた男性市議は「そんなことを(女性市議の)主人に言って大丈夫なのですか」と返答したという。
政倫審は、永野氏が当時の議長で、公務で会合に出席していた点を重視。「ハラスメント行為を行ったことは非常に責任が重い」と結論づけた。過半数の委員の意見で、「議員辞職勧告」に相当するとした。
政倫審は今月3日、菊地洋己議長に報告書を提出していた。複数の議会関係者によると、市議会は15日にも臨時会を開く予定で、議員辞職勧告に関する採決をする方向で調整している。