ロケット失敗で宇宙ホール開館が未定に 8Kシアター開設できず

和歌山県串本町で宇宙事業会社「スペースワン」のロケット初号機の打ち上げが失敗したことを受け、町が町役場旧古座分庁舎に整備した「宇宙ふれあいホールSora(そら)―Miru(みる)」(同町西向)のオープン時期が未定になったことがわかった。当初今夏ごろとしていたが、目玉の高精細映像シアターで放映する打ち上げ成功の映像が撮れず、2号機の発射時期も不透明なためだ。町はスケジュールを立てられないという。
町はロケットによるまちおこしを目指し令和3年、町役場新庁舎建設で大部分の部署が移転することになった3階建ての古座分庁舎をロケット・宇宙関連施設にリニューアルすることを計画した。観光客や修学旅行生を集客するため、3階の議場跡には、初号機の発射映像を高精細映像の「8K」で繰り返し放映するシアターを設置。4年12月には報道関係者に公開していた。
また1階に打ち上げのデジタル体験などができる「ロケットミュージアム」、2階に企業向けのサテライトオフィスを整備した。名称は公募で決定。打ち上げ成功を想定して総事業費約3億9500万円で工事を進め、建物はほぼ完成した。
ところが3月13日、スペースワンの初号機は打ち上げ直後に自爆し失敗。同社は「原因を特定したうえで、2号機の発射時期を検討する」としており、次の映像撮影時期は不透明な状況になっている。
町は初号機打ち上げ当日、独自に発射場内と町内2カ所で、シアターで放映する目的で8K映像を撮影したが、町企画課ロケット推進グループの宮本宏保班長は「成功の映像があれば失敗の映像を合わせて放映することもできるが、これだけでは放映できない。夏までに2号機打ち上げが成功すれば予定していた時期にオープンできるものの、情報がなく読めない」と説明。その一方で「ロケットの映像がなくても、例えば町のPR映像を放映する方法もある。オープン時期は検討中」としている。
町はこれまで、同ホールを運営・管理する指定管理者を募集するなど今夏ごろのオープンに向け準備。新たな観光名所になるとして期待していた。(張英壽)

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