6日、遮断機も警報機もない踏切で9歳の女の子が列車にはねられ亡くなりました。こうした危険な踏切は、国が廃止や改善を求める一方でなかなか減っていません。
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8日、群馬・高崎市の踏切には、ジュースやお菓子とともに、多くの花が供えられていました。
献花に来た人
「孫とは同い年なんですよ。ちょっといてもたってもいられなくなって」
献花に来た人
「早すぎるでしょ、9歳は」
群馬県高崎市にある踏切で6日に起きた痛ましい事故。近くに住む小学4年生の渋沢姫星愛(きらら)ちゃん(9)が命を落としました。
上信電鉄によると、姫星愛ちゃんは犬を追いかけるようにして線路の中に入ってきたといいます。運転士は50メートルほど手前で進入に気づき、非常ブレーキをかけましたが、間に合わなかったということです。姫星愛ちゃんは電車にはねられ、その場で死亡が確認されました。
近所の人
「いい子だよ、陽気なかわいらしい子。踊りというか、ダンスしたり、いつも楽しそうだよね、鼻歌を歌ったり」
事故が起きた踏切は、見通しはいいものの、「遮断機」も「警報機」も設置されていない「第4種踏切」と呼ばれるものです。総務省の調べでは「第4種踏切」は遮断機のある踏切に比べ1.7倍も多く事故が起きているということです。
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では、今回の踏切はどのような状況だったのでしょうか。
まずは 電車が来る方向を見て、車両が確認できてから通り過ぎるまでの時間を計測しました。
「news every.」スタッフ
「いま電車が見えてきました」
「news every.」スタッフの場合、遠くにある車両を目視してから、車両が目の前を通り過ぎるまでにかかった時間は25秒ほどでした。
続いて、耳を澄ました状態で電車の接近にいつ気づけるかを確認しました。
「news every.」スタッフ
「いま、電車の音が聞こえました」
電車の音が聞こえた時には、車両はすでに目の前に来ていました。気づいてからわずか10秒ほどで電車は踏切を通過していきました。
こうした「第4種踏切」は全国に2408か所あり、踏切全体の約7%を占めているのです。(※去年3月末時点:国土交通省より)国土交通省は鉄道事業者に対して「第4種踏切」の廃止や改修を求めていますが、なかなか進まないのが現状です。
その背景にあるのは、地元住民にとって、第4種踏切が“生活道路”となっていることです。
近所の人
「農家の人は使えないと困るんでしょうね」
廃止の理解を得るには時間がかかり、改修するにも費用がかかるということです。
こうした中、新たな対策を始めたのが関東鉄道です。茨城県取手市の踏切に、利用者自らが手で動かす、簡易遮断機を去年12月から試験導入しました。
利用者
「あった方がいいんじゃないかな。子どもとかね」
死亡事故が起きた踏切では8日、新しく踏切注意の看板が1つ立てられました。
上信電鉄 職員
「少しでもできることを、きょうはやりたいなと。同じような事故が起きないよう、これから関係者と協議していくところ」
警報機や遮断機の設置についても協議を進めたいということです。