日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)の跡地に防衛省が「多機能な複合防衛拠点」を整備する計画を巡り、民間利用を含めた跡地活用策について呉市と県、日鉄が議論する「3者協議」に日鉄側が不参加を申し出ていたことが判明した。
湯崎英彦知事が9日の定例記者会見で明らかにした。日鉄から3日に「防衛省の提案に注力するため」として断りの連絡があったという。
跡地を巡っては防衛省が一括購入して複合防衛拠点を整備する方針を示していて、同省を含めた4者協議が3月に始まっている。県は複合防衛拠点整備も選択肢の一つとした上で、民間での利活用を含めた跡地の活用策を探るため、4月中にも呉市と日鉄との3者協議を開催する予定だった。
湯崎知事は「跡地活用の決定権は日鉄にある」と理解を示した一方「(瀬戸内製鉄所は)地域の協力のもとで成り立ってきた。利害を追求するだけではなく、一緒に地域にとってベストな選択を考えてほしい」と苦言を呈した。県は、日鉄に引き続き3者協議への参加を呼びかけていく。【安徳祐】